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「国民皆歯科検診」導入の意義とM&Aの戦略的な活用

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「国民皆歯科健診」を義務化?歯科クリニックの今後の動向と狙いとは

全ての国民を対象とした歯科健診を義務付ける「国民皆歯科健診」の導入について検討を行うと政府関係者からの情報がありました。この健診では、歯周病の早期発見を目的とした簡単な診察などが行われ、歯の健康が他の病気の発症を予防し、また日本国全体の医療費の抑制に寄与することを目指しています。

口腔ケアに対する海外と日本での意識の違い

海外と日本の歯科クリニックへの通院目的の違いからも、日本人の口腔ケアに対する意識の低さが明らかです。欧米では、歯科定期健診が一般的な慣習となっており、歯科クリニックは「歯が痛くなる前に行く場所」として位置付けられています。しかし、日本では「歯が痛くなってから通う場所」という傾向が見られます。

皆さんも、歯を多く保持している高齢者の方が健康的な生活を送っているイメージをお持ちだと思います。
政府が2022年6月にまとめる経済財政運営の骨太方針に、毎年の歯科健診が義務付けることで、日本人の口腔ケア意識改革に一石を投じる事ができるのでしょうか。

「国民皆歯科健診」の導入はなぜ今なのか

「国民皆歯科健診」の導入がなぜ今のタイミングで進められるのか、私は疑問を感じました。

その背景には、選挙に関わる政治的な要素が少なからず存在しているのではないでしょうか。与党(自民党)は2021年に「国民皆歯科健診」の義務化を目指す議員連盟を立ち上げ、昨年の衆院選でも公約として掲げるなど、積極的な活動を行ってきました。また、日本歯科医師連盟などもこの制度の創設を要望しており、2022年7月の参院選に向けて組織票を増やしたいという意図もあるのではないかと考えています。

歯科業界にとって「国民皆歯科健診」は追い風となるか

歯科クリニック全体の売上は、2020年3月頃からのコロナ情報の影響により減少基調となりましたが、同年8月頃には前年同水準まで回復しました(社会保険診療報酬支払基金の統計月報)。医療という特性から、歯科クリニックの需要はなくなることはありません。

一方で、長年増加基調であった歯科クリニックの数は近年減少傾向にあります。後継者不在や総人口の減少が主な要因と考えられます。

仮に「国民皆歯科健診」の法案が実行されれば、通院患者予備軍との接点が増え、集患方法が変化することが想定されます。そのため、今後は人口動態や定期健診に合わせた集患を意識する経営が更に必要となるかもしれません。

■歯科診療所の施設数■
令和2年3月末 68,332施設
令和3年3月末 68,051施設
令和4年3月末 67,761施設
出典データ : 厚生労働省医療施設動態調査(厚生労働省ホームページ)

歯科クリニックM&Aは事業戦略としての課題解決方法の一つ

M&Aによる買収で「人材」が獲得できると、既存クリニックの強化にも繋がることが期待できます。
従来の経営資源だけでは実現が難しかった「売上の拡大」「従業員の流動性」「新規エリアへの展開」といった課題解決の可能性があります。

事業を展開していく上で見つかる課題を、M&Aによって改善できるケースがたくさんあります。ご要望やご意見がございましたらご遠慮なくお問合せいただきたく存じます。