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「事業承継・M&A補助金」11次公募について

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はじめに

前回のコラムでもご紹介した「事業承継・M&A補助金」について、2025年5月9日より第11次公募の申請受付が開始されました。今回は「専門家活用枠」のみの公募となっています。

本コラムでは、最新の第11次公募における「専門家活用枠」の概要や補助対象となる要件、申請の流れ、注意点などをわかりやすく解説します。申請を検討されている皆さまの参考となれば幸いです。

※2025年5月9日時点の情報です。最新情報や公募概要の詳細につきましては、事業承継・M&A補助金の公式サイトをご確認ください。

事業承継・M&A補助金とは?

事業承継・M&A補助金は、中小企業・小規模事業者等が、事業承継やM&Aに際して行う設備投資等や、事業承継・事業再編及び事業統合に伴う経営資源の引継ぎ、または引継ぎ後の経営統合に係る経費の一部を補助することによって、事業承継・事業再編及び事業統合を促進し、我が国経済の活性化を図ることを目的としています。

事業承継・M&A補助金は、補助の対象となる取組内容や経費の種類に応じて以下の4枠で補助が行われます。
11次公募では「専門家活用枠」のみの公募です。それ以外の詳細については今後随時公開されます。

  • 事業承継促進枠
  • 専門家活用枠
  • PMI推進枠
  • 廃業・再チャレンジ枠

11次公募|専門家活用枠の概要

専門家活用枠とは?

事業承継・M&A補助金の「専門家活用枠」は、事業承継やM&Aを通じて経営資源の引継ぎを行う中小企業者が、M&A専門家(FA・仲介業者等)への委託費用を補助する制度であり、後継者不在や経営資源の引継ぎに関する課題を抱える中小企業者が、専門家を活用して円滑な事業承継を実現することを支援します。

◆補助金対象者

補助対象の要件は細かく設けられており、それらすべての条件を満たす中小企業者や個人事業主が補助金の対象者となります。要件の一部は以下の通りです。要件の詳細は公募要領をご確認ください。

  • 日本国内に拠点または居住地を置き、国内で事業を営むこと

  • 法人の場合、設立登記および3期分の決算・申告が完了していること

  • 個人事業主の場合、「個人事業の開業届出書」「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出してから5年以上経過し、確定申告書Bや青色申告決算書の写しを提出できること

  • 暴力団等の反社会的勢力と関係がないこと

  • 法令遵守上の問題がないこと

  • 交付決定後も含め、事務局からの質問や資料提出依頼に適切に対応できること

  • 「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者を利用する場合、その情報提供に同意できること

  • 申請時点で18ヶ月以内に中小企業庁所管の他補助金で賃上げ加点要件未達の場合、減点されることを了承できること

中小企業者の定義(主な例)

業種資本金または出資総額従業員数
製造業等3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
 

※医療法人、社会福祉法人、一般社団法人・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農業組合法人、組合等は対象外になります。

 

◆補助金の対象事業

  • 事業再編・事業統合に伴うM&A(合併、会社分割、株式譲渡、事業譲渡など)で、経営資源の引継ぎが行われる案件

  • 買い手支援類型:経営資源を譲り受けて生産性向上や地域経済への貢献が見込まれること

  • 売り手支援類型:地域経済や雇用の維持・創出に貢献し、第三者による事業継続が見込まれること

×以下は補助金の対象外となるケースです。

  • グループ内再編や親族間承継
  • 物品・不動産のみの売買
  • 事業譲渡価格が0円(無償)、株価1円など取引価格の合理性がない場合
  • 事業実態がない・休眠会社のM&A
  • 国・自治体補助金と重複する事業
  • 事業譲渡において、有機的一体な経営資源(設備、従業員、顧客等)の引継ぎが行われていない場合
  • 株式譲渡後において、譲渡後に承継者が保有する被承継者(対象会社)の議決権が過半数に満たない場合
  • 開業直後の事業主からの事業譲渡等において、その正当性が確認できない場合
  • 上記各事例の他、事業再編・事業統合が行われたことを客観的に確認できない場合

 

補助事業期間

2025年7月上旬~約12ヶ月に、経営資源の譲渡・譲受または廃業を伴うM&Aが着手・実施されること

※着手→専門家との契約締結日のこと
※実施→基本合意書または最終契約書の締結、クロージング(経営権や所有権の移転と譲渡代金の決済)が完了すること

 

◆補助内容

類型補助率補助下限額補助上限額

上乗せ額

(D.Dに係る費用)

上乗せ額

(廃業費)

買い手支援類型2/3以内50万円600万以内+200万以内+150万円以内
売り手支援類型

1/2又は2/3以内

※補助事業期間内に経営資源引継ぎが実現しない場合(補助対象事業において、クロージングしなかった場合)、補助上限額は300万円以内。

※以下の要件1,2のいずれかに該当する場合、売り手支援類型の補助率が2/3に引き上げられます。
(1,2に該当しない場合は補助率1 /2 以内)

  1. 物価高等の影響により、営業利益率が低下している者
    具体的には、直近の事業年度(申告済み)及び申請時点で進行中の事業年度において、
    (1)直近の事業年度(申告済み)と 2 期前の事業年度(通年)
    (2)直近の事業年度(申告済み)及び申請時点で進行中の事業年度のうち、それぞれ任意の連続する 3 か月(当該期間の前年度同時期)の平均 上記(1)(2)のそれぞれの期間における営業利益率を比較した場合に、低下していること。
  2. 直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者

 

◆補助対象経費

  • FA・M&A仲介費用(M&A支援機関登録制度に登録された業者に限る)

  • デュー・ディリジェンス(DD)費用

  • 専門家謝金・旅費

  • システム利用料(M&Aマッチングサイト等の登録料・利用料・成約手数料)

  • 保険料(表明保証保険等)

  • 廃業費用(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リース解約費、移転・移設費等)

>>>M&A支援機関登録制度はこちらから確認できます。

申請の流れ

1. まず申請前に準備すべきこと
◆gBizIDプライムアカウントの取得

  • 必須:電子申請(jGrants)にはgBizIDプライムが必要です

  • 取得方法:gBizID公式サイト(https://gbiz-id.go.jp/)から申請

  • 所要期間:1~3週間(混雑期はさらにかかる場合あり)

  • 注意:アカウントがないと申請できないため早めに取得する必要があります

◆M&A支援機関の選定

  • 補助対象となるFA・仲介業者は「M&A支援機関登録制度」に登録された業者のみです。

  • 登録業者リストは公式サイトで確認できます。

2. 必要書類の準備

◆共通して必要な書類 

申請する類型により書類が異なります。以下は必要書類の一部です。

  • 申請書(jGrants入力用)

  • 履歴事項全部証明書(申請日以前 3 カ月以内に発行されたもの)
  • 事業計画書(所定様式)

  • 補助対象経費の見積書・契約書案

  • 直近3期分の決算書(法人)または確定申告書B・青色申告決算書(個人事業主)

  • 登記簿謄本(法人)

  • 開業届・青色申告承認申請書(個人事業主/5年以上経過が必要)

  • 暴力団等排除に関する誓約書

  • 必要に応じて、在留カードや住民票(外国籍の場合)など

3. 電子申請(jGrants)による申請

◆申請期間

  • 2025年5月9日(金)~2025年6月6日(金)17:00まで

◆申請方法

  1. jGrants(https://www.jgrants-portal.go.jp/)にアクセス

  2. gBizIDプライムでログイン

  3. 「事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)」の申請フォームを選択

  4. 必要事項を入力し、必要書類をアップロード

  5. 内容を確認し、申請ボタンを押す

4. 審査・交付決定

  • 事務局による書類審査・加点審査等が行われます。

  • 採択された場合、「交付決定通知」が届きます。

  • 交付決定前に契約・発注・支払いをした経費は補助対象外です。

  • 交付決定後、補助事業を開始します。

5. 補助事業の実施

  • 交付決定通知を受けてから、専門家契約・M&Aプロセスを進めなければいけません。

  • 補助事業期間は2025年7月上旬から約12ヶ月間です。

6. 実績報告・補助金請求

  • 補助事業終了後、実績報告書領収書・契約書等の証憑書類を提出します。

  • 事務局による審査後、補助金が支給されます。

7. 補助金受領後の義務

  • 補助金受領後も、事務局からのアンケートや調査に協力する義務があります。

  • 不正受給や虚偽申請が判明した場合、返還や公表、刑事罰の対象となります。

注意すべき点

1. 申請・受給に関する注意点

  • 虚偽申請・不正受給の厳罰化
    申請書類に虚偽記載や不正があった場合、補助金の交付取消・全額返還(年10.95%の加算金付き)、不正内容の公表、今後の補助金交付停止、さらには刑事罰の対象となります。また事務局による現地調査や追加資料提出の要請に必ず対応する必要があります。

  • gBizIDプライムの取得必須
    電子申請(jGrants)にはgBizIDプライムが必要。取得には1~3週間かかるため、早めの申請が重要です。

  • 他の補助金との重複不可
    国や自治体の他の補助金・助成金と同一・類似内容で重複申請・受給はできません。自己負担分を超える補助を受けることもできません。

  • 株式譲渡をする場合、譲渡する会社と株主の共同申請が必要

    株式譲渡を行った場合、M&A仲介費用は譲渡した会社の持ち主である株主個人が費用を支払うことが一般的ですが、共同申請を行っていない場合は、支配株主または株主代表が契約の主体となり負担した経費は補助対象経費とならないため注意が必要です。

2. M&A仲介の相見積もりについて

  • 相見積もり取得は必須
    M&A仲介費用(FA・仲介業者への委託費用)を補助対象経費とする場合、原則として複数社からの見積書(相見積もり)を取得し、その証憑を実績報告時に提出する必要があります。
  • 相見積もり未取得や不備がある場合は減額リスク
    相見積もりを取得していない、または取得方法に不備がある場合、補助金の減額や不採択のリスクがあります。

  • やむを得ず相見積もりが取れない場合
    専門性が高く他社がいない等、正当な理由がある場合は、その理由を説明する書類を用意してください。

  • 相見積もりが不要な場合もある
    ・条件1:助対象経費において、選定先以外の 2 者以上に見積を依頼したが、全ての専門家・業者から見積を作成できないと断られた場合(2 者以上の専門家・業者から見積を断られた事が確認できる書面(電子メールの写し等)の添付が必須)
    ・条件2:FA・仲介費用において、専門家費用が移動総資産額又は譲渡額に基づくレーマン表により算出された金額以下である場合 (FA・仲介の選定専門家の FA・仲介費用見積額が、下記レーマン表により算出される金額(着手金含む報酬総額)よりも低い金額又は同額の場合
    ・条件3:システム利用料において、成功報酬(成約手数料)のみの M&A のマッチングサイトに複数登録して、当該成約手数料を申請する場合(ただし登録したことを証する複数のマッチングサイトの登録画面等のスクリーンショット等の提出、成功報酬のみの特定サイト 1 社のみに登録をする場合と着手金等のランニングコストが係るマッチングサイトの場合は相見積が必要 )

3. 補助事業・経費に関する注意点

  • 補助事業期間内の実施が必須
    補助事業期間(2025年7月上旬~約12ヶ月)内に、契約・発注・支払い・クロージング(最終契約・決済・経営権移転)まで完了する必要があります。補助事業期間内に経営資源引継ぎが実現しない場合(補助対象事業において、クロージングしなかった場合)、補助上限額は300万円以内。

  • 補助対象経費の要件
    FA・M&A仲介費用は「M&A支援機関登録制度」登録業者のみ対象となります。また成功報酬・中間報酬は、補助事業期間内に専門家契約締結・基本合意書/最終契約書締結・支払いが全て完了していることが条件になります。補助対象経費は、実績報告で証憑(契約書・領収書等)の提出が必須です。

  • 補助対象外となるM&A形態あり
    グループ内再編・親族間承継・物品/不動産のみの売買・実態のない会社や休眠会社のM&A・取引価格が極端に低い(無償譲渡等)などは対象外となります。事業譲渡の場合、有機的一体の経営資源(設備・従業員・顧客等)の引継ぎがない場合も対象外になるため注意が必要です。

4. 申請者・申請単位の注意点

  • 申請は原則1事業者1件
    同一者による複数申請は不可(例外あり)。共同申請の場合、補助金は負担額に応じて交付。

  • 過去の同種補助金の交付決定実績がある場合は申請不可(一定条件を除く)

5. その他の注意点

  • 反社会的勢力との関係がある場合は対象外

  • 法令遵守上の問題がある場合は申請不可

  • 申請・交付・事業報告時の情報は国や関係機関と共有される場合あり

6 .その他の注意点

  • 買い手支援類型ではデュー・ディリジェンス(DD)が必要
    DD費用を補助対象にしない場合も、DD実施証憑の提出が必要です。

  • 不動産業などは、常時使用する従業員1名以上の引継ぎがない場合、対象外となる可能性


上記の通り、事業承継・M&A補助金の申請・利用には、法令・規定の厳格な遵守が求められます。不正や手続きミスは重大なリスクとなるため、公募要領を熟読し、専門家や事務局への事前相談を推奨いたします。
詳細は公募要領の「6.補助対象事業」「6.1 補助対象となる事業及びM&Aの要件」「6.2 M&A形態に係る区分整理」等を必ずご参照ください。また補助金に関するご不明点は、必ず【公募要領】を確認し、必要に応じて事務局にお問い合わせください。

>>>事業承継・M&A補助金公募要領

さいごに

当社は「M&A支援機関登録制度」に登録された正式な支援機関であり、特に介護業界に精通したM&A仲介会社として、多くの事業者様の承継・譲渡をサポートしてまいりました。介護・福祉分野ならではの経営課題や規制にも熟知しており、業界特有のニーズに即したマッチング・交渉支援が可能です。

「自社が補助対象になるのか分からない」「申請書類の準備に不安がある」「どの専門家に相談すればいいか分からない」といったご不安がある場合でも、ご安心ください。当社では、対象要件の確認から丁寧にサポートを行っており、相談は無料で承っております。

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