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株式上場は最善の選択か?

上場のメリット・デメリット

直近、ヤフーによるZOZO買収のニュースが話題を集めました。

上場企業によるM&Aのニュースは、社会的インパクトもさることながら、その話題性に多くの関心が集まります。

よって、今回は上場について少し考察してみたいと思います。

先日、企業オーナー様から、
「上場って実際どうなの?した方が良いこと多いの?」というお話を頂きました。

 

企業の知名度向上や、外部からの資金調達の面で、
上場は非常にメリットがあります。

実際に、多くの新進気鋭の企業が上場を目標に日々経営に励んでいいます。

しかし、大きなメリットの反面、あまり語られないデメリット、
もしくは少し誤解されて伝わってしまっている論点が存在していることも事実です。

その最たるものが、

「非上場株式は売りにくいが、上場することで流動性が高まり、オーナーの企業の相続税納税資金の対策になる。」

というものです。

事業承継に関する話では必ずといって良いほど登場するフレーズです。

この論点に関しては、部分的に正しいものの、オーナーの資産の大半が自社株である点を鑑みると、必ずしもメリットばかりではありません。

仮に、後継者となった相続人が、株式を売却して納税資金を工面したいと考えた場合、「インサイダー取引規制」により市場での売却、資金化はできないのが実情です。

よって、事前に持株会社を作り、株式を保有させ、
相続後に市場外での売却を図る等の高度な対策が必要となります。

加えて、上場によって、オーナー企業から上場企業となった場合、
「社会的公器」としての責任が強く求められます。

また、上場を維持するコストもかかり、
これまで以上に、経営に関して気に掛けるべきことは間違いなく増えていきます。

以上のことから、

上場にはメリットばかりではないということ、
通説として語られている、「納税対策の手段に上場を選択するということ」は、
本来の上場趣旨とは異なるということがお分かりいただけるのではないかと思います。

上場による資金調達のメリットを最大限生かし、
投資家のチェックを受けながら、調達資金が正しく事業に使われることが本来のあるべき姿です。

我々も、重要な経営判断をサポートする立場にあるので、オーナー様には、メリット・デメリットを可能な限り比較したうえで、最善の選択をして頂きたいと思っています。

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