病院・クリニック

医療法人のM&A

病院も統合再編の流れが加速か

9月末に厚生労働省が、公立病院と日本赤十字社が運営する公的病院25%超にあたる全国424の病院について「再編統合について特に議論が必要」と病院名を公表したことは記憶に新しいかと思います。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html

地域の医療インフラを担ってきた病院の統廃合については住民の混乱も予想されます。

しかし、そもそもの診療実績が少なく、
非効率な医療を招いていたり、がんや救急など、高度医療の診療実績が少ない病院や、
近隣に機能を代替できる民間病院がある病院については、やはり統合の検討は不可避であると考えます。

このまま黙って何もしないでいるわけにはいかないでしょう。

こうした流れは全国の民間病院も例外ではなく、
民間病院の統合再編案が具体的に出始めるのも時間の問題であると考えます。

M&Aを活用した統合再編案も加速的に増えると想定しています。

そこで、弊社にも日々ご相談頂くことが多くなってきております、
「病院のM&A」における極めて基礎的な論点を整理してみたいと思います。

出資持分あり医療法人のM&A

平成19年施行の第5次医療法改正により、出資持分のある医療法人の新規設立は出来なくなりましたが、
既存の出資持分のある医療法人については、当分の間存続する経過措置が取られています。

この場合、売り手が買い手に医療法人の出資持分を譲渡する方法が一般的です。

医療法人が保有する

  • 資産
  • 負債/債権債務
  • 許認可
  • 雇用契約
  • 不動産賃貸借契約やリース契約等

そのまま引き継ぐことになります。

譲渡に際し、買い手にとって留意すべきポイントとしては、

  1. 医師・看護師、職員への未払残業代
  2. 患者からの訴訟
  3. 診療報酬の返戻、適時調査、個別指導
  4. 建物の瑕疵等

は、譲受後に認識していなかったでは済まされない事項になりますので、
専門家を交え、事前のデューデリジェンスを欠かさずに行うことが重要です。

持分なし医療法人のM&A

持分なし医療法人は持分譲渡はできません。

したがって、買い手が新たに医療法人の役員となって資金調達を行い、売り手に退職金を支払うといった手法が一般的です。

他にも、売り手の理事長から医療法人への貸付金がある場合は買手が肩代わりして支払ったり等、その法人、理事長が置かれたケースによって手法は変わってきます。

ただし、買い手にとっては、持分ありの医療法人を買うとき同様、留意するべきポイントは持分なし法人でも同じなので、専門家や我々のような専門アドバイザーを交えて交渉していくことをお勧め致します。

以上、簡単ではありますが医療法人のM&Aにおける基本事項をご説明させて頂きました。
他にも居抜譲渡や、合併、分割等の手法もございますが、本稿では割愛させて頂きます。

詳しい内容に関しては、弊社のアドバイザーがじっくりとお話をお伺いして、最適なご提案をさせて頂ければと思います。
弊社はご相談は無料ですので、お気軽にお問合せ下さい。

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