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デューデリジェンス(DD)の意義と重要性

DDのポイント

いつも弊社アドバイザーコラムをお読み頂きありがとうございます。

今回はデューデリジェンス(以下DD)について、取り上げたいと思います。

DDの目的は、ひとことでいうと、「対象会社、対象事業を知ること」です。
M&Aの交渉が進んでいき、基本合意に達した後、買収側が被買収側への精査を行うことが一般的な流れです。

DDについては、M&Aに慣れている大手企業では当たり前に行われ、ノウハウも蓄積されていますが、
昨今は初めて事業や会社の買収を実行する企業様からのご相談も増えてきておりますので、
DDを行うにあたり最低限知っておくべきポイントを説明したいと思います。

DDの種類

DDにはいくつかの種類があります。大きく分けると以下の9つです。

①事業、ビジネスDD (買収対象事業、企業の将来性、自社とのシナジーを評価)
➁財務DD (対象事業、企業の財務状況を正確に把握)
③法務DD (対象会社の法的リスクを検証。労務問題、訴訟関連等)
④税務DD (対象会社の過去の税務申告の精査、M&A実行後に生じる課税関係の精査)
➄労務DD (人事に関する事項全般。上記DD実施過程でカバーされる傾向あり)
⑥不動産DD (対象会社の企業価値の多くを不動産が占める場合に実施)
➆知財DD (対象会社の知的財産権が重要な取引ポイントとなる際に実施)
⑧環境DD (対象会社に環境法令との関係でリスクが生じる場合に実施)
➈ITDD (対象会社のシステム統合、システム維持コストを精査)

 

各種DDの種類を列挙しましたが、買手側が知りたいことは概ね、

・買収するに値する会社か
・買収額をいくらにするべきか
・買収実行の障害となる事項はないか
・買収後に経営に与える影響はないか

の4点に集約されるものと思われます。

買収を検討するにあたり、買手側の最大の関心事は買収額です。

DDの結果、買収に疑義が生じたとしても、
買収額が低廉な場合は、買収実行の意思決定を行うケースは多々あります。

また、DDの結果、様々なリスク事項が検出された場合、
当初想定していたスキームの変更、取引自体の見直しや想定買収額の減額調整等、
買収側はリスクに応じた判断を求められる
ことにります。

これら、DDで発見された事項は、売手側と共有・交渉を重ねていき、
最終契約時に条項に織り込むことによって対応がなされます。

クロージング前に改善可能な事項においては、クロージングの前提条件や誓約事項として定めます。

また、大きなリスク要因となるとなる可能性のある事項については、
売手側の表明保証を求め、表明保証違反については保証条項を定める
ことになります。

以上を要約すると、買手は投資の意思決定において、DDにより様々な事項を精査し、
売手側はそれに対し、誠実に正確な情報を提供するということが健全なM&Aの実行においては不可欠であるということです。

今回は、DDについての大枠について解説させて頂きました。

初めてM&Aという大きな意思決定を行う買手企業様には、上記精査ポイントに留意していただき、
事業や会社の売却を検討されているオーナー様には、自社に内在するリスク事項解消のヒントにして頂ければ幸いです。

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