コロナ禍による調剤薬局の減収対策について

2020年に発生した新型コロナウイルス問題は、調剤薬局業界にも大きな影響を与えています。
ただ、調剤薬局業界で予期されていた変化を前倒しで発生させている一面もあるのです。

この記事では、新型コロナウイルス問題への対応が迫られる調剤薬局の減収対策について解説いたします。
参考にしてみてください。



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  • このページの監修者
  • ディレクター
    青木 祐二
  • 関東地区の調剤薬局事業を担当するM&Aディレクター。 座右の銘は「成功の反対は失敗ではなく、何もやらないこと」。

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調剤薬局の現状

調剤薬局の現状

調剤薬局の現状のポイントとしては、下記の2点を上げることができます。

  • コロナ禍での影響
  • 調剤報酬の改定に伴う影響

それぞれを解説していきましょう。

コロナ禍での影響

2020年に発生した新型コロナウイルス問題により、国内のみならず世界各国の経済が大きな影響を受けました。

国内でも4月に緊急事態宣言が全国に発令され、外出自粛により多くの業界が経済的ダメージを受けています。

上場する大手調剤薬局の決算も、2020年4~6月の第1四半期(Q1)は対前年同期比で大幅な減益となりました。

7~9月の第2四半期はQ1の反動で増益となった会社も多い一方、前期並の数字を回復できない会社も見られます。

コロナ禍の影響は、調剤薬局業界全体で見れば、旅行関連業界のように壊滅的な打撃を受ける程ではありません。

しかし、7月以降も回復が鈍い調剤薬局の中には、今後資金繰りも徐々に厳しくなる調剤薬局も現れる可能性があります。

参考URL:公益社団法人 日本医師会「2020年4~6月の調剤薬局等の経営状況」

調剤報酬の改定に伴う影響

膨張する一方の調剤医療費に対し政府は抑制方針を採っており、過去に比べて同一業務の相対的な調剤収入額は減少しています。

よって、過去と同等の収入を維持するためには過去以上の調剤業務を行う必要があります。

このままかかりつけ薬局・薬剤師制度への対応などを行わず、過去の延長線上で業務を続けていれば、調剤報酬はジリ貧となってしまうからです。

高齢化の進展により高齢者の増加は続いているものの、政府の方針及び、財政事情から全体的な調剤報酬額の大幅な伸びが望めない中で、利益無き繁忙の状態にある調剤薬局も増加しています。

調剤薬局の減収への対策

調剤薬局の減収への対策

調剤報酬の全体額の大幅な伸びが期待できない状況下、調剤薬局の減収への対応策としては下記をあげることができます。

  • ウィズコロナ対策を強化する
  • IT化によるコストの削減
  • M&Aを検討する

それぞれ見ていきましょう。

ウィズコロナ対策を強化する

既に多くの調剤薬局において、コロナ対策として窓口に仕切りを設けるなどの措置が取られています。

また2020年9月1日の薬機法改正により調剤薬局の「オンライン服薬指導」が解禁されました。

ウィズコロナ時代は、これまで来店による対面が原則であった薬剤師や調剤薬局の業務に変化が迫られます。

また政府が構築を目指している地域包括ケアシステムの中でも、従来型の薬剤師や調剤薬局は変化していく必要があります。

よってウィズコロナ対策は地域包括ケアシステム対策にも通じる面があると言えるでしょう。

オンライン服薬指導や訪問による服薬指導など、ウィズコロナ時代、そして地域包括ケアシステム時代も見据えた対応が調剤薬局には求められます。

IT化によるコスト削減

中小事業者の多い調剤薬局業界は、店舗及び業務のIT化の余地がまだ十分残されている状態です。

大手調剤薬局が積極的なM&Aにともない、業務フローの標準化などを目的にIT化を推進する一方、中小調剤薬局のIT化は大手に比べ遅れています。

IT化は最初の段階で投資コストがかかりますが、業務効率化により最終的に投資は回収できれば、投資以上の成果が期待できます。

コロナ対策で中小企業のIT化促進の補助金も創設されているので、それらを活用してのIT化も検討されてはいかがでしょうか。

これまでIT投資が充分にできていない中小調剤薬局では、IT化によるコスト削減余地は大きいといえます。

M&Aを検討する

地域包括ケアシステムの導入を前に新型コロナウイルス問題が生じるなど、調剤薬局業界は変化の中にあります。

しかし厳しい経営環境の下で独力ではなく、大手の傘下入りして事業を存続させる、という選択肢もあります。

また、調剤薬局には地域医療を維持する、という社会的使命もあります。

今後経営的に厳しい状況が続き、最終的に事業を閉鎖することになれば、地域の医療機関など各方面に大きな影響を与えます。
特に地方では閉鎖の影響が大きくなります。

政府による調剤医療費の抑制方針は当面維持される予定であり、市場環境の好転は望み薄です。

今後の調剤薬局の経営環境及び自社の経営状態を踏まえ、M&Aでの事業売却を行い大手の傘下入りすることは、取引先などの関係先に迷惑をかけない有力な方法となります。

調剤薬局のM&Aを行うメリットについて

調剤薬局のM&Aを行うメリットについて

M&Aによる企業売却で大手の傘下入りすることで、大きな環境変化の中にある調剤薬局業界において生き残りの可能性が高まります。

調剤薬局は地域医療を維持するための重要な機関であり、経営が苦しいから、と簡単に廃業の決断はできません。

しかし、M&Aを活用することで地域医療にとって重要な調剤薬局の存続が可能となります。

また、売却側の調剤薬局経営者は株式売却代金を得た上で、調剤薬局の経営から引退することもできます。

ただし、M&Aを行うといっても、M&Aのタイミングや手続が分からない調剤薬局経営者の方が殆どです。

M&Aによる調剤薬局の売却に多少でも関心があれば、調剤薬局のM&A経験豊富なM&A仲介会社・CBパートナーズにお気軽にご相談ください。

まとめ

日本の医療制度は人口のボリュームゾーンである団塊の世代の後期高齢者入りに向け、大きな環境変化を控えています。

また、2020年に発生した新型コロナウイルス問題は、今後迫られる調剤薬局業界の変化を前倒しで発生させる結果を招きつつあります。

中小事業者の多い調剤薬局業界では、新型コロナウイルス問題が契機となり、今後淘汰が加速する可能性があります。

淘汰の時代を迎える可能性のある調剤薬局業界において、単独での生き残りを模索することは当然ながら、地域医療の一員として存続の必要性を踏まえれば、M&Aでの事業売却という選択肢も考えた上での対応が求められるのではないでしょうか。

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