調剤薬局の事業拡大に際し、特定地域に集中的に出店するドミナント戦略の採用は有効な選択肢です。

ドミナント戦略の内容を解説するとともに、そのメリット及びデメリットも解説いたします。

ドミナント戦略とは

ドミナント戦略

ドミナント(dominant)は「支配的な」「優勢な」という意味を持つ英単語で、ドミナント戦略とはマーケティング用語で小売店などのチェーンストアが一つの地域に集中して出店する戦略を指します。

ドミナント戦略の成功事例

ドミナント戦略の国内企業の成功事例としては、コンビニエンスストアの「セブン-イレブン」が有名です。

同社は全国展開を行う際に特定の地域に集中的に出店し、該当地域でトップシェアを獲得した後に次の地域に同様の出店を行うことで、全国展開に成功したことが知られています。

ドミナント戦略の主なメリット

ドミナント戦略の主なメリットは下記があげられます。

  • お店の知名度を早く上げることができる
  • 店舗同士のスタッフの行き来がしやすくなる
  • 配送の効率があがる
  • 出店計画が効率的になる
  • 競合他社の参入障壁となる

お店の知名度を早く上げることができる

ドミナント戦略では特定地域に集中的に出店するため、該当地域では自然と店舗の知名度が上がります。

多数の店舗が一定の地域に存在するため、日頃から顧客が実際の店舗を目にすることで知名度がアップします。

店舗同士のスタッフの行き来がしやすくなる

ドミナント戦略では特定地域に集中的に出店することで、店舗スタッフが複数店舗の業務の掛け持ちができるため、柔軟な人員配置を可能とします。

少子高齢化でパートやアルバイトの採用も簡単ではない昨今、店舗同士でスタッフを融通できる点は、ドミナント戦略を採用する大きなメリットです。

配送の効率があがる

多数の地域に多店舗展開を行う場合、物品の配送に時間とコストがかかります。

しかしドミナント戦略を採用すれば、例えば1台のトラックで午前中に複数の店舗を回るなど、効率的な配送ができます。

ドライバー不足から配送費も上昇傾向にある中、ドミナント戦略は物流コストを抑えての多店舗展開を可能とします。

出店計画が効率的にできる

ドミナント戦略を採用すると、必然的に特定地域の商圏情報に強くなります。

よって効率的に収益を上げられる立地が分かるようになるため、高い収益性が見込める場所を選んでの出店が可能です。

また事前に商圏情報を持つことで、空き店舗の情報が入った際に迅速な対応が可能となり、ライバル店に先んじての出店もできます。

競合他社の参入の障壁となる

ドミナント戦略の採用で、特定地域の一番手企業となること自体、競合他社が同地域に出店を計画する際の参入障壁となります。

競合他社も最初の段階では商圏の取りやすい地域から出店を行います。

よってライバル企業が強い地域への出店は避ける傾向にあるため、ドミナント戦略の成功は自社の防御力向上につながります。

ドミナント戦略の主なデメリット

一方、ドミナント戦略の主なデメリットは下記となります。

  • 出店場所を間違えるとカニバリテーションが起こる
  • 災害時等のリスクが大きくなる
  • 交通事情が変わると損害が大きくなる

出店場所を間違えるとカニバリテーションが起こる

ドミナント戦略のマーケティング面での最大のデメリットは、カニバリテーションです。

カニバリテーションとは即ち「共食い」です。

ドミナント戦略を採用し特定地域に集中出店することで、同じ会社の店舗同士で顧客の取り合いが発生するリスクが生じます。

店舗同士の距離を必ず一定程度取る等、ドミナント戦略の採用時は事前にカニバリテーションを避けるための施策が必要です。

災害時等のリスクが大きくなる

ドミナント戦略は災害発生時のリスクが高い戦略です。

集中的に出店した地域が地震や津波などで大きな被害を受ければ、各店舗に加え会社全体としてのダメージも大きくならざるを得ません。

ドミナント戦略を採用する際は、災害時に想定しうる被害の可能性も踏まえて採用の可否判断が必要です。

交通事情が変わると損害が大きくなる

郊外では道路の付け替えで交通事情が一変するケースがあります。

幹線道路として利用され多くの交通量のあった道路でも、新たな幹線道路の開通などで交通量が激減すれば、それまでのロードサイトの繁盛店も大きな影響を受けます。

よって特にロードサイトに出店する際は、その地域の道路計画などの把握が不可欠です。

調剤薬局がドミナント戦略を行うには

調剤薬局

事業拡大に際し、多店舗展開が必要な調剤薬局ではドミナント戦略が有効に機能します。

よってドミナント戦略を採用して特定地域で集中出店することは、調剤薬局における事業拡大の有効な戦略です。

その際に自社での新規出店に加えて、M&Aにより既に出店する調剤薬局を買収することも有効な手段となります。

既に商圏を抱える調剤薬局の買収が出来れば、スピーディーな事業拡大が可能です。

調剤薬局業界においてドミナント戦略とM&Aは相性の良い組み合わせであり、M&Aの積極的な活用はドミナント戦略採用時の事業拡大のスピードアップに寄与します。

まとめ

災害時のリスクはありますが、ドミナント戦略は事業拡大を行う際の有効な経営戦略です。

また調剤薬局は中小事業者が多いため、事業承継等での企業売却も活発に行われており、ドミナント戦略を採用する際に、新規出店に加えM&Aの活用も可能です。

ドミナント戦略を採用する際は、新規出店に加えM&Aも積極的に活用することで、スピーディーな事業拡大を目指してはいかがでしょうか。

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