福岡における調剤薬局のM&A事例を解説

福岡市は人口増加が続く成長中の街です。
歴史ある街ながら今も人口増加が続き活気のある、福岡市を中心とする福岡の調剤薬局業界及びM&A事例を解説いたします。



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  • このページの監修者
  • ディレクター
    青木 祐二
  • 関東地区の調剤薬局事業を担当するM&Aディレクター。 座右の銘は「成功の反対は失敗ではなく、何もやらないこと」。

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調剤薬局業界のM&Aの動向

調剤薬局業界は中小事業者中心の業界構造の中で、事業承継問題が深刻化しています。
少子高齢化の影響は調剤薬局も例外ではなく、調剤薬局経営者の高齢化が進む一方で後継者不在のケースが増加しています。
その中で大手調剤薬局などが、後継者不在の中小調剤薬局を買収して事業拡大を行うケースが増えています。

福岡の調剤薬局事情とは?

福岡の調剤薬局事情とは?

福岡における調剤薬局市場の特徴は下記があります。

  • 地方都市では薬剤師不足が加速
  • 中小の調剤薬局の売り案件が多い
  • 大手薬局チェーンが積極的に進出

地方都市では薬剤師不足が加速

少子高齢化が進む中で福岡市の人口は一貫して伸び続けています。 2013年に150万人に達した人口は2020年には160万人を突破しました。 ただし、高齢化が進む中での人口増加であり、薬剤師の不足は加速しているという側面があります。

参考URL:日本経済新聞

中小の調剤薬局の売り案件が多い

調剤薬局経営者の高齢化が進む中、福岡市では従来型の中小調剤薬局の売り案件が増加中です。
更なる高齢化の進展により、中小の調剤薬局の売り案件は今後も増加すると予想されます。

大手薬局チェーンが積極的に進出

人口増加が続く福岡市は、大手調剤薬局が積極的に進出を行う地域です。
また、東京や大阪に比べ地価が安い点も進出に拍車をかけています。
他の大都市に比べ開発可能地域も残されている福岡市は、人口増加とともに宅地開発なども進む可能性があり、大手薬局調剤薬局などの積極的な店舗展開が今後も続くと予想されます。

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

調剤薬局業界におけるM&Aの買い手側及び売り手側のメリットについて、下記で解説いたします。

買い手側のメリット

M&Aの買い手側メリットはお金で事業拡大に必要とされる時間が買える、という点にあります。
小売店の事業拡大のセオリーは新規出店ですが、新規出店は成果が出るまで時間がかかります。また、時間をかけた結果“失敗”に終わるリスクもあります。
既に実績ある店舗や企業を買収することで、それらの売上や利益をそのまま取り込むことができます。
出店コストよりも投資金額が割高となるケースもありますが、売上及び利益獲得の確実性を考えれば、新規出店に比べ買収は十分採算が合う事業拡大方法です。

売り手側のメリット

M&Aの売り手側メリットとしては、事業を維持しながら経営者の引退ができる、という点があります。
特に調剤薬局は地域医療を支える存在でもあり、個人的な事情で簡単には閉鎖ができません。
経営者の高齢化が進む中で、地域の医療インフラとして経営者の頑張りで調剤薬局の経営が維持されているケースも。
しかしM&Aにより売却を行うことで、調剤薬局を維持しながら経営者の引退が可能です。
また保有株式は買収先に売却するため、株式の売却代金を引退後の生活費に充当することもできます。

M&Aの主な手法

M&Aの主な手法

M&Aの主な手法には株式売却と事業譲渡があります。

株式売却

M&Aは殆どのケースで株式売却により行われます。
買収側は発行する株式の過半数を取得することで、企業の経営権の取得が可能です。
よってM&Aの際は、旧オーナーから新オーナーに過半数以上の株式が売却されて企業の経営権は移動します。
尚、中小企業のM&Aでは、殆どの場合で株式の100%が売却されます。
上場企業など100%の株式取得には多額の費用が必要とされる場合などは、最初の段階で51%以上の株式を取得して徐々に追加購入する方法が採られるケースもあります。

事業譲渡

1つの企業で多数の事業展開する企業が、特定の事業部門のみを売却する場合は事業譲渡が行われます。
株式売却は企業全体の売却となるため、特定の事業部門のみの売却を行う場合は、事業を切り分ける必要があります。
中小調剤薬局は調剤薬局事業のみを手掛けるケースが殆どであり、事業譲渡が行われるケースは非常に少ないといえます。
ただし、中堅以上で事業多角化を進めている企業が特定事業を売却する場合は、事業を切り分けた上での事業譲渡が必要です。

福岡における調剤薬局のM&A成功事例

福岡における調剤薬局のM&A成功事例

それでは、下記に福岡の調剤薬局のM&A成功事例を3件ご紹介します。

福岡の調剤薬局のM&A成功事例①株式会社ツルハHDによる買収

2020年3月に株式会社ツルハHD<3391:札幌市>はグループ会社を通じて株式会社江頭エーザイ(福岡県大川市)が福岡県内で展開するドラッグストア1店舗の譲り受けを発表。
大手調剤薬局による地方の中小ドラッグストア買収のケースとなりました。調剤薬局業界では大手企業であっても、中小事業者の買収を積極的に行っています。

参考URL: 事業譲受に関するお知らせ-株式会社ツルハHD

福岡の調剤薬局のM&A成功事例②ファンドと組んでのMBO

2020年4月に、医業経営コンサルティングや調剤薬局事業を展開する総合メディカルHD株式会社(福岡市)は、投資会社のポラリス・キャピタル・グループと組んだMBO(経営陣による事業買収)を行い上場廃止となりました。 ファンドと組んでのMBOであり、非上場化後の事業再編などを経て最終的に再上場を目指すのか、調剤薬局大手などへの企業売却がなされるのか、今後の展開が注目されます。

参考URL: 株式の上場廃止のお知らせ-株式会社総合メディカルホールディングス
PDF:http://ke.kabupro.jp/tsp/20200331/140120200331487559.pdf

福岡の調剤薬局のM&A成功事例③株式会社メディカルシステムネットワークによる株式公開買い付け

2013年9月に株式会社メディカルシステムネットワーク<4350:札幌市>は子会社を通じ株式会社トータル・メディカルサービス(福岡県糟屋郡)に対する株式公開買い付け(TOB)を発表しました。
事業多角化を行いグループ会社を通じ北海道はじめ全国に調剤薬局を展開する株式会社メディカルシステムネットワークは、九州地区での出店は5店舗に留まっていました。
しかし福岡を地盤に調剤薬局35店舗を展開する株式会社トータル・メディカルサービスを子会社化することで、九州地区での地盤を固めに成功しました。
大手調剤薬局が地方の中堅調剤薬局を買収するパターンとなります。

参考URL:薬事日報

株式会社トータルメディカルサービス株券に対する公開買い付け-株式会社ファーマーHD

M&Aを検討しているなら専門家への相談がおすすめ

M&Aを検討しているなら専門家への相談がおすすめ

近年、事業承継問題を契機にM&Aによる売却を検討する企業が増加していますが、M&Aの内容及び条件はケースバイケースの部分が多くなります。
よって、M&Aを検討するならまずは専門家に相談することがおすすめです。
M&Aの実現性、現実的な売却価格など、経験豊富な専門家から具体的なアドバイスを受けることができます。
M&Aにご興味があるなら、専門家から客観的な意見を聞く所から始めてはいかがでしょうか。

まとめ

人口が増加を続ける福岡市は、国内でも数少ない成長が続く都市です。
大手調剤薬局は成長する福岡市での事業拡大を目指し積極的な出店を行っており、M&Aにも積極的です。
また福岡市は古くから発展した街でもあり、中堅調剤薬局が多く存在します。
その中で各調剤薬局経営者の高齢化が進んでおり、今後は経営者引退の増加により調剤薬局が売却されるケースも増加すると予想されます。
成長を続ける福岡での調剤薬局市場がどのような推移をたどるのか、今後の行方が注目されます。

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