街並み

1995年の阪神淡路大震災から復興を果たした神戸市ですが、人口は2011年をピークに減少傾向にあります。 しかし、人口減少が続くとはいえ神戸市は人口150万人を超える大都市です。 そんな都会と地方の顔を併せ持つ都市でもある、神戸のM&A調剤薬局業界およびM&Aの動向について解説します。



監修者画像
  • このページの監修者
  • ディレクター
    青木 祐二
  • 関東地区の調剤薬局事業を担当するM&Aディレクター。 座右の銘は「成功の反対は失敗ではなく、何もやらないこと」。

>プロフィール



調剤薬局業界のM&Aの動向

長く成長が続いた調剤薬局業界ですが、現在では調剤薬局経営者の高齢化が進んでいます。 また、調剤薬局業界は中小事業者の比率が高いため、事業承継が大きな問題として浮上しています。 そのような業界環境の下で進んでいるのは、大手調剤薬局などにより事業承継問題を抱える中小調剤薬局の買収です。 この大手による中小調剤薬局の買収は、今後更なる高齢化社会を迎える中で今後も加速することが予想されます。

神戸の調剤薬局事情とは?

1995年の阪神淡路大震災で大きな被害を受けた後に復興を果たした神戸市は、人口150万人を超える大都市です。 しかし、2011年をピークに人口は徐々に減少しています。 神戸市は市街地の平地部分が少ない一方で、高度成長期に丘陵地帯を開発して住宅開発を行った歴史があり、特に郊外での人口減少が進む状態です。 人口150万人を超える神戸市は、都会と地方の両者の特色を持つ都市であり、様々なタイプの調剤薬局が地域に応じて存在しています。 また、大阪への交通アクセスがよいため薬剤師が大阪に流れてしまい、それが神戸の薬剤師不足に拍車をかけている一面もあります。

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

天秤

調剤薬局業界におけるM&Aのメリットについて、買い手側及び売り手側の両者の観点で解説いたします。

買い手側のメリット

M&Aの買い手のメリットはお金で時間を買える、という点にあります。 調剤薬局が事業拡大を行う際は、新規出店がセオリーです。しかし新規出店は実際に出店しないと分からない面が多数あり、収益化に予想以上の時間がかかることが少なくありません。 一方で、既に黒字化している企業や店舗の買収を行うことで、買い手は着実に事業拡大ができます。新規出店に比べM&Aはトータルコストが高くなる場合もありますが、事業拡大の時間は確実に短縮可能です。 人口減少が進み各市場の縮小が進む日本では、事業買収は事業拡大の有効な手段となります。

売り手側のメリット

大手企業が1店舗のみを運営する小規模事業者を買収するケースというのは、他の業界では少ないです。 一方で、調剤薬局業界では大手企業が調剤薬局1店舗のみを運営する企業を買収するケースは珍しくありません。 地域医療を支える存在でもある調剤薬局は、経営者の高齢化が進んでも地域医療の維持のために簡単に引退ができません。 しかし、大手企業などに売却を行うことで、調剤薬局を維持したまま経営者の引退が可能です。 また、事業の売却は保有する株式の売却で行われることが殆どであり、前オーナーは株式の売却資金を引退後の生活資金とすることができます。

M&Aの主な手法

ピースサインする女性

M&Aの手法としては“株式売却”及び“事業譲渡”の2種類があります。 下記でそれぞれについて解説いたします。

株式売却

株式会社では株式の過半数を持つことで企業の経営権を取得できるため、殆どのM&Aは株式売却で行われます。 また、調剤薬局のM&Aでは、前オーナーの保有株式は基本的に100%売却されます。 なお、上場企業などの場合、100%の株式取得は多額の資金が必要となるため、一旦過半数以上の株式を取得した後で徐々に株式シェアを引き上げる方法が採られる場合もあります。

事業譲渡

事業譲渡は、事業の多角化を行っている企業が、一事業部門のみを売却する際などに用いられます。 よって、調剤薬局事業のみを手掛ける企業がM&Aの際に事業譲渡を利用するケースは一般的ではありません。 事業譲渡を行うためには、事業譲渡の対象となる事業を企業から切り離す必要があるため、企業の分割手続きが必要です。 事業の分割手続きを行った上で事業譲渡を行う流れとなるため、M&Aのプロセスとしても株式譲渡に比べ一手間かかる手続きとなります。

神戸における調剤薬局のM&A成功事例

街並み2

神戸における調剤薬局のM&A成功事例として下記に3件を取り上げました。

神戸の調剤薬局のM&A成功事例①株式会社ココカラファインの事業譲受

ドラッグストア大手の株式会社ココカラファイン<3098:横浜市>は、2020年12月に兵庫県内で調剤薬局2店舗を展開する有限会社ルーカスから調剤薬局事業の譲り受けを発表しました。 剤薬局事業の強化を進めるドラッグストア大手による、中小調剤薬局の買収事例となります。

神戸の調剤薬局のM&A成功事例②ロングライフHD株式会社による調剤薬局事業の承継

関西中心に介護付き有料老人ホーム事業を展開するロングライフHD株式会社<4355:大阪市>は、2018年10月に会社分割の方法により神戸市に本社を置き調剤薬局事業を展開する株式会社ユウシンメディックから調剤薬局事業の承継を発表しました。 新規事業として調剤薬局事業を開始した介護事業者による、中小調剤薬局事業者の買収事例となります。また大阪の企業による神戸の調剤薬局の買収事例でもあります。

神戸の調剤薬局のM&A成功事例③株式会社ソフィアHDによる子会社化

通信事業及び調剤薬局事業が2本柱の株式会社ソフィアHD<6942:横浜市>は、2019年5月に神戸市に本社を置き兵庫県で6店舗の調剤薬局を展開する株式会社アルファメディックスの子会社化を発表しました。 調剤薬局事業を事業の2本柱の1つとする上場会社による、調剤薬局事業強化のための中小調剤薬局の買収事例となります。

M&Aを検討しているなら専門家への相談がおすすめ

相談風景

M&Aという言葉自体は以前に比べ一般的な言葉になりました。 しかし、一言でM&Aといってもその内容はケースバイケースの部分が非常に多く、相手先、売却金額など、実際に交渉を行わないと分からない面も多いです。 このため、調剤薬局のM&Aを検討するなら専門家への相談がおすすめ。 ケースバイケースの部分の多いM&Aについて、過去の経験などに基づいて客観的なアドバイスを受けることができます。 納得のいくM&Aが実現するには、専門家のアドバイスを受けながらプロセスを進めていくのがおすすめです。

まとめ

大都市ながら人口減少に見舞われつつある神戸市ですが、その人口は依然として150万人を超え、様々なタイプの調剤薬局が存在しています。 ただし、経営者高齢化による中小調剤薬局の事業承継問題はすでに顕在化しており、大手企業などがM&Aにより神戸の中小調剤薬局を傘下に入れるケースが相次いでいます。 また、神戸は大阪に隣接しているため大阪資本の企業が神戸の調剤薬局を傘下に入れるケースも見られます。 特に、郊外で人口減少が進む神戸において、調剤薬局業界がどのような推移を見せるのか今後の推移が注目されます。

調剤薬局のM&Aに関する相談をする

調剤薬局業界のM&A概況を知る