熊本における調剤薬局のM&A事例を解説

熊本県でも既に人口減少が進んでいます。
しかし県庁所在地の熊本市は県下の他の市町村に比べ人口減少ペースは緩やかな状態です。
この記事では、このように熊本市とその他市町村で人口の減少ペースが異なる、熊本での調剤薬局及びM&A事例について解説いたします。



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  • このページの監修者
  • ディレクター
    青木 祐二
  • 関東地区の調剤薬局事業を担当するM&Aディレクター。 座右の銘は「成功の反対は失敗ではなく、何もやらないこと」。

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調剤薬局業界のM&Aの動向

国内では少子高齢化が進む中で、中小企業では事業承継が大きな問題として浮上しています。 調剤薬局業界は大手の市場シェアが10%程度と低く、中小調剤薬局中心の業界構造のため、事業承継問題が特に深刻です。 一方で、大手調剤薬局などの買収意欲は旺盛であり、中小調剤薬局がM&Aで売却されるケースが増加しています。 さらなる高齢化社会の到来が予想される中で、今後も中小調剤薬局が大手などに買収されるケースは増えると予想されます。

熊本の調剤薬局事情とは?

熊本市の人口は2018年の74万人がピークですが、2021年4月時点で73.7万人であり微減の状態です。

ただし熊本県全体では1999年の186万人をピークに2021年4月時点で172万人まで減少しています。 熊本市での人口減少はそれ程ではありませんが、熊本県全体では人口減少が確実に進んでいます。 熊本の調剤薬局業界は、人口が安定的に推移する熊本市では大手調剤薬局などの進出が進む一方で、郊外では従来型の中小調剤薬局が今も地域医療を支える状態です。 このように同じ熊本県内でも、調剤薬局業界の状況は、熊本市と他の市町村で若干異なっているといえます。

参考URL:
熊本市の人口の推移
熊本県の人口の推移
令和3年(2021年)熊本県の人口と世帯数

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

調剤薬局業界におけるM&Aのメリットを「買い手側」、「売り手側」の観点で解説します。

買い手側のメリット

高齢化社会の到来により、調剤医療費は膨らみ続けており、政府はすでに調剤医療費の抑制政策を採っています。 その中で調剤薬局事業の拡大を行うには新規出店よりも、すでに売上・利益の計上がなされている調剤薬局の買収を行う方が着実な事業拡大が可能です。 新規出店の場合、出店時に計画通りの数字が上がらないケースも多いといえます。 一方で、M&Aによる買収は新規出店に比べコストが高くなる可能性はあるものの、着実にそしてスピーディーに調剤薬局事業の拡大が可能です。

売り手側のメリット

事業承継問題を抱える中小調剤薬局には、M&Aによる事業売却は事業承継問題の有力な解決手段です。 古くからの中小調剤薬局が地域医療を支える地域は今も少なくありません。よって地域医療の要の1つである調剤薬局について、経営者の高齢化が理由であっても簡単に店じまいすることはできません。 しかし店舗の維持が可能な大手調剤薬局などに事業の売却を行うことで、地域の調剤薬局の維持を行いながら自らの引退が可能です。 また調剤薬局の売却は株式売却で行われるケースが多いため、株式の売却代金を調剤薬局売却後の生活資金に充当することもできます。

M&Aの主な手法

M&Aの主な手法には「株式売却」「事業譲渡」があります。

株式売却

株式会社の経営権は、発行済み株式数の過半数を取得することで、獲得可能。 会社の資産などの譲渡を行わずとも、株式の譲渡を行うのみで、会社の経営権が譲渡できます。 このように株式売却は、株式譲渡の手続きのみで、企業の経営権の譲渡が可能できるため、多くのM&Aで利用されています。

事業譲渡

単一企業で、多角的な事業展開を行う企業が特定事業の売却を行う際は、事業譲渡の形式でM&Aが行われます。 株式売却は企業全体の売却となるため、株式売却では特定の事業部門の売却はできません。 よって売却を予定する事業の切り分けを行った上で該当事業の譲渡が行われます。 事業譲渡は、株式譲渡に比べて事業の切り分けという一手間かかるM&A手法のため、多角的な事業展開を行う大手企業で利用されることが多いといえます。 しかし中小調剤薬局でも、調剤薬局事業に加えて不動産管理事業などを手掛けている会社の場合は、事業譲渡の形式でM&Aが行われます。

熊本における調剤薬局のM&A成功事例

熊本における調剤薬局のM&A成功事例

熊本における調剤薬局のM&Aの成功事例を下記に3件取り上げました。

熊本の調剤薬局のM&A成功事例:①株式会社メディカルシステムネットワークグループの株式取得

薬局向け医薬品情報仲介及び調剤薬局事業を手掛ける株式会社メディカルシステムネットワーク<4350:札幌市>は、2011年10月に熊本県で調剤薬局3店舗を経営する佐伯薬局(熊本県合志市)の全株式を取得することを発表しました。 当時、九州地区に進出を始めたばかりの株式会社メディカルシステムネットワークは、本M&Aにより九州地区での事業拡大の足がかりを得ました。 調剤薬局事業を手掛ける上場企業による、地方の中小調剤薬局の買収事例となりました。

参考URL:
メディシス(4350)熊本調剤3店舗の佐伯薬局を買収

熊本の調剤薬局のM&A成功事例:②旧東邦薬品株式会社の全株式取得による子会社化

医薬品卸売事業を主力事業としながら調剤薬局事業を展開する東邦ホールディングス株式会社<8129:東京都世田谷区、当時は東邦薬品株式会社>は、2008年9月に株式会社ファーマダイワ(熊本市)を完全子会社化しました。 新規事業として調剤薬局事業を強化する上場企業による、地方中小調剤薬局の買収事例となりました。

参考URL:
全株式取得による子会社化

熊本の調剤薬局のM&A成功事例:③阪神調剤ホールディングス株式会社による子会社化

阪神調剤ホールディングス株式会社(兵庫県芦屋市、現在はI&H株式会社)が2014年2月に熊本県で3店舗の調剤薬局を展開する株式会社高階誠心堂(熊本県人吉市)を子会社化しました。 大手調剤薬局による地方の中小調剤薬局の買収事例であり、また大手による買収後も前オーナーが引き続き経営を継続する事例ともなりました。

参考URL:
阪神調剤ホールディング株式会社と友好的M&Aを実施。

まずはM&Aの専門家に相談を

まずはM&Aの専門家に相談を

かつてM&Aを行うのは、売り手と買い手のいずれも上場する大企業などに限られていました。 しかし現在では、中小企業でも積極的なM&Aが行われています。 特に、調剤薬局業界では大手調剤薬局の事業拡大意欲が旺盛で、M&Aが積極的に行われている業界です。 しかしM&Aはケースバイケースの部分が多岐に渡り、また調剤薬局では買収候補先が。同業の調剤薬局に加えドラッグストア等、業種や規模も様々です。 よって調剤薬局のM&Aに興味がある場合は、最初の段階からM&Aの専門家に相談することがオススメです。 M&A実現の可能性から現実的な売却金額まで、客観的な視点でアドバイスが得られますよ。

まとめ

熊本県では県全体の人口減少が進んでいますが、県庁所在地の熊本市の人口減少は緩やかなペースです。 このように同じ熊本県内でも、熊本市と他の市町村では調剤薬局業界の置かれた環境に若干違いがあります。 特に、熊本市以外の市町村の調剤薬局は、更なる高齢化社会の進展が確実視される中で、経営者の高齢化問題が深刻化すると予想されます。 熊本市とその他の市町村で人口減少のペースが異なる熊本において、調剤薬局業界がどのような推移を見せるのか、今後の行方が注目されます。

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