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大阪に隣接する和歌山県は、かつて40万人を超えていた和歌山市の人口が35万人に減少するなど、既に県庁所在地の人口減少が始まっています。
この記事ではそのように人口減少及び高齢化が進む、和歌山における調剤薬局業界及びM&A事例についてご紹介します。



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  • このページの監修者
  • ディレクター
    青木 祐二
  • 関東地区の調剤薬局事業を担当するM&Aディレクター。 座右の銘は「成功の反対は失敗ではなく、何もやらないこと」。

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調剤薬局業界のM&Aの動向

少子高齢化が進む日本において、調剤薬局業界は中小事業者の比率が高いこともあり、中小調剤薬局が事業承継を契機に事業売却に踏み切る例が相次いでいます。
一方で大手調剤薬局やドラッグストア大手などは、今も調剤薬局の出店意欲は旺盛であり、中小調剤薬局の買収を積極的に進めています。
更なる高齢化の進展が確実視されており、大手調剤薬局などが中小調剤薬局を買収を進める構図は当面続くと予想されます。

和歌山の調剤薬局事情とは?

夕陽

関西と東海にまたがる広い県域を持つ和歌山県は、2000年台半ばまで県の人口は100万人を超えていましたが、徐々に減少しつつあります。
実際、県庁所在地の和歌山市の人口も、ピーク時の1985年には40万人を越えていましたが、2020年には35万人まで減少しています。
このような人口減少の一方で、高齢化も早いスピードで進んでいる和歌山では、薬剤師が慢性的に人手不足の状態です。
一方で、地方部では古くからの中小調剤薬局が地域に根付いて地域医療を支えていますが、すでに中小調剤薬局経営者の高齢化問題が発生しています。
また和歌山から大阪難波へは南海電鉄やJRなら1時間程度で往来可能であり、和歌山の薬剤師が隣接する大阪で働くケースも珍しくありません。

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

打ち合わせ

調剤薬局業界におけるM&Aについて買い手側、売り手側の各メリットは下記となります。

買い手側のメリット

調剤薬局業界のM&Aの買い手側メリットとして、すでに売上や利益の実績ある調剤薬局を買収することで着実に事業拡大ができる、という点があげられます。
調剤薬局の事業拡大のセオリーは出店です。新規出店を行う場合、最終的に計画通りの収益を上げられるかは実際にやってみないと分からない面があります。
一方で既に売上や利益を計上する調剤薬局を買収できれば、既存の売上・利益を直接取り込むことができます。
M&Aを行うことで買い手側は着実に調剤薬局事業の拡大が可能です。

売り手側のメリット

一方で調剤薬局の売り手側メリットとしては、事業承継の問題解決の有力な手段となりうる点があげられます。

和歌山県は和歌山市を除くと、多くの地域は少数の医療機関などで地域医療が維持される状態です。

古くからの中小調剤薬局が地域医療を支えている地域も少なくありません。
しかし高齢化により、多くの中小調剤薬局が事業承継問題を抱えています。

よって大手調剤薬局などに事業売却を行うことで、店舗を維持したまま調剤薬局経営者は引退が可能です。

また事業売却を行う際は株式譲渡で行われるケースがほとんどであり、引退する調剤薬局経営者は株式売却代金を事業売却後の生活資金に充当することもできます。

M&Aの主な手法

M&Aによる事業売却方法には株式売却事業譲渡の2種類があります。

株式売却

M&Aはほとんどのケースにおいて株式売却により行われます。
株式会社では株式の過半数以上を取得することで、企業の経営権の取得が可能です。
よって株式の過半数以上を旧オーナーから取得することで、企業の経営権は買収側に移ります。
単純に株式の売買のみで経営権の取得が可能なため、M&Aは殆どが株式売買で行われます。

事業譲渡

単一の企業で様々な事業展開が行われている場合、特定の事業のみの売却時には事業譲渡が行われます。
株式売却は企業全体の売却となるため、特定の事業のみを売却する場合は事業の切り離し手続きが必要です。
よって調剤薬局事業など、特定事業の切り離しを行った上で事業譲渡が行われます。
比較的歴史のある中小調剤薬局の場合、単一の企業で調剤薬局と不動産管理事業などを手掛けるケースもあるため、その場合は調剤薬局事業の切り離し手続きの後で事業譲渡が行われます。

和歌山における調剤薬局のM&A成功事例

薬剤師

和歌山における調剤薬局のM&Aの成功事例を下記に3件取り上げました。

和歌山の調剤薬局のM&A成功事例:①株式会社ソフィアHDの事業譲受

2019年12月に株式会社ソフィアHD(横浜市)<6942>はグループ会社を通じ御坊市1店、岩出市1店の調剤薬局を運営する有限会社わかば薬局(和歌山県御坊市)の全株式取得による子会社化の決定を発表しました。
通信及び調剤薬局事業が2本柱の株式会社ソフィアHDによる、地方の中小調剤薬局の買収事例となりました。

参考URL:株式会社ソフィアHDの連結子会社による株式取得に関するお知らせ

和歌山の調剤薬局のM&A成功事例:②株式会社ツルハHDによる株式取得

2013年6月にドラッグストア大手の株式会社ツルハHD(札幌市)<3391>は、和歌山県と大阪府内にドラッグストア14店(うち調剤薬局4店)を運営するウエダ薬局の全株式取得を発表しました。
本買収により、株式会社ツルハHDは未出店地域であった和歌山県と大阪府内の進出の足がかりを得ました。

大手調剤薬局による調剤薬局事業も手掛ける地方ドラッグストアの買収事例となりました。

参考URL:株式会社ウエダ薬局の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

和歌山の調剤薬局のM&A成功事例:③総合メディカル株式会社による株式取得

2013年8月に総合メディカル株式会社(福岡市)<2020年4月に非上場化>は大阪府9店、和歌山県3店の調剤薬局を展開する株式会社タイコー堂薬局(泉南市)、株式会社ティ・エム薬局(堺市)の買収を発表しました。 医療経営コンサルティングなど医療関連事業を幅広く手掛ける総合メディカル株式会社による、地方の中小調剤薬局の買収事例となりました。

参考URL:総合メディカル(4775)近畿のタイコー堂12店舗を取得

M&Aを検討しているなら専門家への相談がおすすめ

専門家の手元

調剤薬局業界においてM&Aの事例は近年急速に増えていますが、M&Aはケースバイケースの部分が非常に多くなります。
よって事業承継問題などを契機に事業売却を検討する際は、経験豊富な専門家への相談がおすすめです。
経験に基づき実際のM&Aの可否や見込まれる売却価格など、客観的な視点でアドバイスが得られるため、冷静にM&Aのプロセスを進めることができます。

まとめ

以前は40万人を超えていた和歌山市の人口が2020年には35万人まで減少するなど、和歌山は高齢化による人口減少が進んでいます。 また大阪難波まで約1時間という地理的な便利さから、今後も人口流出が予想されます。
その中で地域医療を担う調剤薬局の存在は欠かせないものの、今後は薬剤師不足が深刻化する可能性があります。
また特に地方では中小調剤薬局の経営者の高齢化が進んでおり、中小調剤薬局の事業売却も増える可能性もあります。
既に人口減少が始まり高齢化も進む和歌山において、調剤薬局業界がどのような方向に進むのか、今後の推移が注目されます。

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