街並み

横浜の調剤薬局業界は、東京と同様に都市型の業界環境にあります。 大手調剤薬局などの出店意欲は旺盛であり、薬剤師不足の状態です。 ただし、今後は中小調剤薬局経営者の高齢化問題が本格化する可能性があります。 横浜の調剤薬局業界及びM&A事例について解説いたします。



監修者画像
  • このページの監修者
  • ディレクター
    青木 祐二
  • 関東地区の調剤薬局事業を担当するM&Aディレクター。 座右の銘は「成功の反対は失敗ではなく、何もやらないこと」。

>プロフィール



調剤薬局業界のM&Aの動向

他の業界に比べ中小事業者の比率が高い調剤薬局業界は、高齢化社会の到来とともに事業承継問題が深刻化しています。 身内や社内に後継者がおらず、M&Aによる事業売却を選択する中小調剤薬局が増加中です。 経営者の高齢化を背景とする事業承継問題は、今後更に深刻化すると予想されています。

横浜の調剤薬局事情とは?

空撮

現在も人口増加が続く横浜市を中心とする横浜エリアでの調剤薬局業界は、東京と類似の業界環境にあります。 横浜には都市型から郊外型まで様々なタイプの調剤薬局が出店しています。 今も大手による新規出店は旺盛であり、薬剤師は慢性的な人手不足の状態です。 また、人口の多さもあり、地域密着型の中小調剤薬局の経営も問題なく維持されています。 しかし、調剤薬局経営者の高齢化が進んでおり都市部は高齢化問題が地方に比べ一歩遅れて発生するため、横浜では事業承継問題が今後本格化する可能性があります

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

黒板

調剤薬局業界におけるM&Aのメリットについて下記で買い手側、売り手側の各視点から解説いたします。

買い手側のメリット

M&Aの買い手側メリットは、新規出店に比べ確実な事業拡大が可能となる点があげられます。 調剤薬局における事業拡大のセオリーは新規出店です。 しかし、新規出店は店が軌道に乗るまで時間がかかり、また最終的に黒字店舗となるか試してみないと分からない面があります。一方で既に黒字化した調剤薬局を買収できれば、そのまま黒字店舗を自社に取り込むことが可能です。 新規出店に比べ投資金額が大きくなる可能性はあるものの、買収なら確実に事業拡大が可能となります

売り手側のメリット

調剤薬局は地域医療の担い手という側面もあることから、簡単に廃業の決断ができません。事業承継問題を抱えながら、ギリギリまで事業を継続する調剤薬局は多数存在します。 M&Aによる売却を行うことで、調剤薬局の店舗を他社に引き継いで経営者は引退が可能です。またM&Aは通常株式譲渡で行われるため、前オーナーは株式譲渡による売却代金を経営引退後の生活資金とすることができます。 このように、M&Aによる売却は、経営者の高齢化による事業承継問題解決の有力な解決方法となります。

M&Aの主な手法

ピースサインする女性

M&Aの手法は主に株式売却事業譲渡の2種類があります。

株式売却

株式会社は発行済株式数の過半数以上の株式を取得することで経営権の取得が可能です。よって通常のM&Aは、株式売却で行われるケースが多いといえます。 また、中小調剤薬局のM&Aでは買い手企業は売り手企業の100%の株式を取得するケースがほとんどです。発行済株式数の100%を取得することで、企業を完全に傘下に収めることができます。

事業譲渡

1つの企業で多彩な事業展開を行う企業が特定の事業部門の売却を行う際は、事業譲渡の手続きでM&Aが行われます。 事業部門の譲渡には、事業の分割手続きが必要です。株式譲渡の場合は単に株式の売買でM&Aの手続きが終わりますが、事業譲渡は対象事業を切り分ける手続きが必要です。 よって、事業譲渡は株式譲渡に比べ一手間かかる手法であり、事業譲渡でM&Aが進められるケースは少ないといえます。

横浜における調剤薬局のM&A成功事例

夜景

横浜における調剤薬局のM&A成功事例として下記に3件を取り上げました。

横浜の調剤薬局のM&A成功事例①株式会社地域ヘルスケア連携基盤グループによる株式取得

株式会社地域ヘルスケア連携基盤(以下「CHCP」、東京都渋谷区)は子会社を通じて、調剤薬局を25店舗運営する株式会社新成堂(横浜市)の株式を取得したと2018年6月に発表しました。 CHCPグループはこれまでも群馬県、埼玉県、東京都で調剤薬局事業者の買収を行っており、ファンドが株主の調剤薬局事業者による中堅調剤薬局の買収例となります。

横浜の調剤薬局のM&A成功事例②株式会社ココカラファイングループへの事業譲渡

株式会社ココカラファイン<3098:横浜市>は子会社が株式会社クレストファーマシー(東京都練馬区)から調剤薬局1店舗の譲り受けたと2020年8月に発表しました。 横浜に本社を置く大手ドラッグストア大手の株式会社ココカラファインは調剤薬局事業を強化しており、ドラッグストア大手による中小調剤薬局の買収事例となりました。 調剤薬局業界では1店舗のみ運営する小規模事業者でも大手事業者が積極的に買収を行っており、その事例ともなります。

横浜の調剤薬局のM&A成功事例③株式会社ココカラファインと株式会社マツモトキヨシの経営統合

株式会社ココカラファイン<3098:横浜市>は株式会社マツモトキヨシHD<3088:千葉県松戸市>との経営統合の基本合意を2020年1月に発表しました。 横浜に本社を置くドラッグストア大手の株式会社ココカラファインは、ドラッグストア大手の株式会社マツモトキヨシHDと合併することで更なる事業拡大を目指すことになりました。(新会社発足は2021年10月1日の予定) 横浜本社で積極的なM&Aを行ってきた株式会社ココカラファインは、株式会社マツモトキヨシHDとの経営統合で新たな企業ステージに入ります。尚、統合後の本社は東京都文京区に置かれる予定です。

M&Aを検討しているなら専門家への相談がおすすめ

相談風景

調剤薬局業界では多くのM&Aが実行されています。 しかし、大手企業による中小調剤薬局の買収、ドラッグストアなど他業界による調剤薬局の買収など様々であり、また内容もケースバイケースです。 事業承継などを契機にM&Aの検討を行うなら、調剤薬局のM&Aに経験豊富な専門家への相談がおすすめです。 過去の事例などを参考にM&Aの可能性や事業売却時の金額などについて、客観的なアドバイスが得られるため、地に足を付いた形でM&Aを進めることができます。

まとめ

横浜地域の調剤薬局業界は、現在も人口増加が続く横浜市を中心に、東京と同様の業界環境にあります。 様々な調剤薬局が存在しつつも大都市としての人口増加を背景に、各調剤薬局は安定的な経営を維持しています。 しかし、大都市ほど高齢化は今後急速に進むため、横浜では中小調剤薬局の事業承継問題が急速に深刻化する可能性があります。 また、横浜に本社を置き調剤薬局の積極的なM&Aでも知られた株式会社ココカラファインが株式会社マツモトキヨシHDとの経営統合を発表するなど、横浜では地殻変動も生じています。 横浜における調剤薬局業界がどのような推移を見せるのか、今後の行方が注目されます。

調剤薬局のM&Aに関する相談をする

調剤薬局業界のM&A概況を知る