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令和8年度介護報酬改定の概要|処遇改善加算拡充で最大月額1.9万円賃上げ、算定要件を解説

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令和8年度介護報酬改定の概要

はじめに

令和8年度(2026年度)の介護報酬改定は、次回の抜本的な改定である令和9年度を待たずに実施される「期中改定」として行われます。背景には、介護人材不足の深刻化や、他産業との賃金格差の拡大があり、介護職員の処遇改善を中心とした内容となっています。

本コラムでは、令和8年度介護報酬改定の概要と、処遇改善加算の主な変更点、そして算定要件や申請手続きについて整理して解説します。

●このコラムのポイント

  • 令和8年度介護報酬改定は、人材確保を目的とした期中改定として実施され、処遇改善が大きな柱となっています
  • 処遇改善加算の拡充により、介護職員一人あたり最大月額1.9万円の賃上げが見込まれています
  • 加算取得には賃金改善・キャリアパス・職場環境整備などの要件を満たす必要があり、制度理解と準備が重要です

令和8年度介護報酬改定の概要:介護職員一人あたり最大月額1.9万円

令和8年度(2026年度)の介護報酬改定は、次回の抜本的な改定である令和9年度を待たずに実施される「期中改定(特例的な改定)」です。この改定は、他職種と遜色のない処遇改善を実現し、深刻な人材不足に対応することを主な目的としています。

改定の概要と詳細な内容は以下の通りです。

◆ 改定率と実施時期について

  • 全体改定率:+2.03%(内訳は処遇改善分 +1.95%、基準費用額(食費)の引上げ分 +0.09%)
  • 実施時期:令和8年4月から順次実施されますが、項目によって時期が異なります。処遇改善加算の新たな区分等は令和8年6月から、食費の見直しは令和8年8月から適用されます。

◆ 「介護職員等処遇改善加算」の拡充

今回の改定のメインは、賃上げと職場環境改善を目的とした加算の充実です。

介護職員のみならず、介護従事者全体を対象に、 月額1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置が講じられます。さらに、生産性向上や協働化(社会福祉連携推進法人への加入など)に取り組む事業所の介護職員には、 月額0.7万円(2.4%)が上乗せされます。定期昇給(0.2万円)を含めると、 介護職員一人あたり最大月額1.9万円(6.3%)の賃上げが見込まれています。

 

◎加算対象サービスの拡大

これまで処遇改善加算の対象外だった以下のサービスにおいて、新たに処遇改善加算が創設されます(※令和8年6月〜)

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援等

 

◎新区分の創設(令和8年6月以降)

生産性向上や協働化に取り組む事業所向けの評価として、既存区分に上乗せする評価区分「加算Ⅰロ」および「加算Ⅱロ」が新設されます。

 

◎算定要件の特例

事務負担を軽減するため、令和8年度中は「ケアプランデータ連携システムへの加入」や「生産性向上推進体制加算の取得」「社会福祉連携推進法人への所属」を誓約することで、申請時点から要件を満たしているものとみなす配慮措置が設けられています。


◆ 基準費用額(食費)の見直し

近年の食材料費の高騰や、実際の提供費用と基準額との乖離を踏まえた改定です。

  • 引上げ内容
    令和8年8月より、介護保険施設等における食費の基準費用額が1日当たり100円引き上げられます。
    └1,445円 → 1,545円

低所得者への配慮(補足給付)

所得区分(第1段階〜第3段階)に応じて利用者負担を据え置く、あるいは1日当たり30〜60円の引上げに留めるなど、負担が急増しないよう調整されます。例えば、第3段階①の利用者は1日30円、第3段階②の利用者は1日60円の引上げとなります。


◆ 事務手続きと届出の期限

処遇改善計画書の提出は、令和8年4月・5月分、および6月以降分をまとめて、令和8年4月15日までに行う必要があります。

ただし、6月から新たに加算対象となるサービス(訪問看護等)のみの事業所は、令和8年6月15日が期限となります。また、加算Ⅰ〜Ⅱ(またはⅠイ〜Ⅱロ)を算定する場合、職場環境等の取組内容を自社ホームページや「介護サービス情報公表システム」に掲載することが義務付けられています。この改定は、人材の流出を防ぐための緊急的対応としての側面が強く、生産性の向上を通じた経営の安定化も同時に図られるとのことです。

次の章で算定要件・申請手続きについて詳細を解説します。

出典:厚生労働省|令和8年度介護報酬改定について
厚生労働省|「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え 並びに事務処理手順及び様式例の提示について (令和8年度)(案)」

介護職員等処遇改善加算の算定要件

処遇改善加算を算定するためには、「賃金改善の実施」に加え、区分に応じた「キャリアパス要件」、「職場環境等要件」、および新設された「令和8年度特例要件」を満たす必要があります。今回、処遇改善に関するルールも細かく求められています。

《介護職員等処遇改善加算の算定要件》

  • 賃金改善の実施(下記に記載の通り、加算額に相当する賃金改善を行うこと)
  • ① 月額賃金改善要件
  • ② キャリアパス要件Ⅰ:職位等に応じた任用要件と賃金体系を定め、書面で整備し職員に周知すること
  • ③ キャリアパス要件Ⅱ:資質向上のための計画を策定し、研修の実施や資格取得支援を行い、職員に周知すること
  • ④ キャリアパス要件Ⅲ:経験、資格、または人事評価等に基づき、定期に昇給を判定する仕組みを整備し周知すること
  • ⑤ キャリアパス要件Ⅳ:経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、改善後の賃金が年額440万円以上となること(小規模事業所等には例外あり)
  • ⑥ キャリアパス要件Ⅴ:サービス提供体制強化加算など、一定以上の介護福祉士等の配置を求める加算を算定していること
  • ⑦ 職場環境等要件
  • ⑧ 令和8年度特例要件(生産性向上や協働化に係る取組)
    ※算定する加算の区分(Ⅰ〜Ⅳなど)やサービス種別によって、満たすべき具体的な項目が異なります。また、一部の要件について「誓約」による特例措置が設けられています。

令和8年度 介護報酬改定処遇改善加算取得要件

出典:厚生労働省|令和8年度介護報酬改定について

各区分で求められる要件は、上記の図の通りです。新設された「処遇改善加算Ⅰロ・Ⅱロ」の算定にはそれぞれ「Ⅰイ・Ⅱイ」の要件に加え、令和8年度特例要件を満たす必要があります。

では、次に取得要件の「賃金改善の実施」「①月額賃金改善要件」「⑦ 職場環境等要件」「⑧ 令和8年度特例要件」についてみていきます。

●賃金改善の実施

まず処遇改善加算取得の基本ルールとして、加算額に相当する額を、基本給、手当、賞与等として全額支出しなければなりません。

令和8年度の改定で増加した加算額については、過去の実績に関わらず、ベースアップ(基本給等の引き上げ)により新規に賃金改善を行うことが基本とされています。例えば、ある事業所が令和7年度に「うちは経営努力で既に他所より高く給料を払っているから、今回の加算増額分は過去の持ち出し分の補填に回そう」と考えることは認められないということです。

すなわち令和7年度時点の賃金水準をベース(起点)として、令和8年度に増える加算額の分だけ、さらに「新規の賃金改善」を積み増す必要があります。また、新たな賃金改善の方法として、一時的なボーナス(一時金)ではなく、月々の決まった給料(基本給や毎月の固定手当)を底上げする「ベースアップ」を原則としています。

よって「令和8年度の賃金総額」 ≧ 「令和7年度の賃金総額」 + 「令和8年度に増えた加算額」となり、原則として、加算による改善分を除いた賃金水準を低下させてはなりません。

※ベースアップの定義:賃金表を書き換えて、職員の給与水準を一律に引き上げることを指します。職員の生活の安定と、将来にわたる継続的な処遇改善を確実にするため、「基本給による賃金改善が望ましい」と資料に明記されています。ただし、「賃金体系を整備中である」などのやむを得ない事情がある場合に限り、他の一時金等と組み合わせて実施することも認められています


①月額賃金改善要件

月額賃金改善要件とは、「処遇改善加算Ⅳ」相当額の2分の1以上を、基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てることを求めるルールです。具体的な内容は以下の通りです。

  • 配分の基準(2分の1ルール)
    処遇改善加算Ⅳの加算額の、少なくとも2分の1以上を基本給または決まって毎月支払われる手当(以下「基本給等」)の改善に充てる必要があります。加算Ⅳ以外の区分(加算Ⅰ〜Ⅲなど)を算定する場合であっても、仮に「加算Ⅳを算定した際に見込まれる額」の2分の1以上を基本給等の改善に充てていなければなりません。
  • 賃金体系の変更(付け替え)の容認
    この要件を満たすために、必ずしも「新たな持ち出し」で賃金総額を増やす必要はありません(新規で加算を取得する場合を除きます)。現在、賞与や一時金として支払っている賃金改善分の一部を減らし、その分を基本給等に「付け替える」ことで要件を満たすことも認められています。
  • 実施方法の原則(ベースアップ)
    この要件を満たすために新規で引き上げを行う場合は、賃金表の改訂によって賃金水準を一律に引き上げる「ベースアップ」により行うことが基本とされています。すでにこの要件(加算Ⅳの2分の1以上を月給で支給している状態)を満たしている事業所については、この要件のための新たな取組を行う必要はありません。

⑦職場環境等要件

賃金改善以外の面で職場環境を改善するための具体的な取組を指します。「入職促進」や「生産性向上」など、以下の6区分にわたる取組(全28項目)を実施し、上位区分(加算Ⅰ・Ⅱ等)ではホームページ等で公表(見える化)する必要があります。

  • 1.入職促進に向けた取組
    ・法人や事業所の経営理念、ケア方針、人材育成方針の明確化
    ・事業者の共同による採用、人事ローテーション、研修制度の構築
    ・他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者など、経験や資格にこだわらない幅広い採用の仕組み
    ・職業体験の受入れや地域行事への参加による、職業の魅力向上への取組
  • 2.資質の向上やキャリアアップに向けた支援
    ・介護福祉士取得を目指す者への実務者研修受講支援や、より専門性の高い研修(ユニットリーダー研修、認知症ケア等)の受講支援
    ・研修の受講やキャリア段位制度と、人事考課の連動
    ・エルダー・メンター制度(仕事やメンタル面のサポート担当者)の導入
    ・上位者によるキャリア面談など、定期的な相談機会の確保
  • 3.両立支援・多様な働き方の推進
    ・子育てや家族の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度の充実や、託児施設の整備
    ・職員の事情に応じた勤務シフト、短時間正規職員制度の導入、非正規から正規への転換制度の整備
    ・有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りや、複数担当制による業務の属人化解消
  • 4.腰痛を含む心身の健康管理
    ・相談窓口の設置など、メンタルヘルス対策の充実
    ・健康診断・ストレスチェックの実施や、従業員用休憩室の設置
    ・腰痛対策の研修や、身体負担軽減のための介護技術の修得支援
    ・事故・トラブルへの対応マニュアル整備
  • 5.生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組
    ・「生産性向上ガイドライン」に基づく業務改善活動(委員会設置など)や、現場の課題の見える化
    ・5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の実践による職場環境の整備
    ・介護ソフト、タブレット・スマートフォン等のICT機器や、介護ロボットの導入
    ・介護職員がケアに集中できるよう、介護助手等の活用や外注による役割分担の明確化
    ・各種委員会の共同設置や事務処理部門の集約など、協働化を通じた改善
  • 6.やりがい・働きがいの醸成
    ・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化
    ・地域の児童・生徒や住民との交流の実施
    ・利用者本位のケア方針や法人の理念を定期的に学ぶ機会の提供
    ・ケアの好事例や、利用者・家族からの感謝の情報を共有する機会の提供

<算定における注意点>

  • 処遇改善加算ⅠまたはⅡ(イ・ロ含む)を算定する場合
    ・区分1〜4、6については各2つ以上の取組が必要
    ・区分5「生産性向上」については3つ以上の取組(うち⑰または⑱は必須)が必要
  • 処遇改善加算ⅢまたはⅣを算定する場合
    ・区分1〜4、6については各1つ以上
    ・区分5「生産性向上」については2つ以上の取組が必要
  •  令和8年度の特例措置(誓約)
    「令和8年度特例要件」を満たしている(または誓約している)事業所に限り、申請時点でこれらの要件をすべて満たしていなくても、令和9年3月末までに取組を行うことを「誓約」すれば、申請時点から要件を満たしているものとして加算を算定できる配慮措置が設けられています。ただしこの場合、実際に取り組んだ内容は実績報告書で報告する必要があります

⑧令和8年度特例要件(加算Ⅰロ・Ⅱロ等の算定に必須)

以下の要件を満たすことで、令和8年6月から新設される上乗せ区分である「加算Ⅰロ」や「加算Ⅱロ」を算定することが可能になります。以下の(ア)から(ウ)のいずれかの取組を行っていることが条件となります。※サービス種別によって対象となる取組が異なります。

  • (ア)ケアプランデータ連携システムの利用
    厚生労働省が認めた「ケアプランデータ連携システム」を利用していること。主に訪問・通所系サービス等が対象。
  • (イ)生産性向上推進体制加算(ⅠまたはⅡ)の算定
    生産性向上に資する取組を評価する「生産性向上推進体制加算」を算定していること。主に施設・居住系サービス、多機能系サービス、短期入所サービス等が対象。
  • (ウ)社会福祉連携推進法人への所属
    介護サービス事業所等が所属する法人が、社会福祉法に基づき認定された「社会福祉連携推進法人」に所属していること。これは全サービスが対象。

◎「誓約」による特例措置もあり

事務負担の軽減や準備期間を考慮し、申請時点で要件を満たしていない場合でも算定を認める「誓約」制度が設けられました。申請時点で利用や算定をしていなくても、「令和9年3月末までに加入・利用・算定すること」を処遇改善計画書で誓約すれば、申請時点から要件を満たしているものとして取り扱われます。ただし、誓約をした場合は、令和9年3月末までに取組を実施した上で、その実績を実績報告書において報告しなければなりません。

また、この「令和8年度特例要件」を満たしている(または誓約している)事業所に限り、以下のキャリアパス要件等についても令和9年3月末までの整備を誓約することで算定が認められるという配慮措置が適用されます。

  • キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備)
  • キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
  • キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)
  • キャリアパス要件Ⅳ(年額440万円以上の賃金要件)
  • 職場環境等要件の実施

申請手続きと注意点

事業者は、指定権者(都道府県知事や市町村長)に対して以下の届出を行う必要があります。

●体制等状況一覧表の届出(体制届出)

  • 令和8年4月から算定する場合
    原則として令和8年4月1日(自治体によっては4月15日まで延長可)が届出期限です。
  • 令和8年6月から新規対象となるサービス(訪問看護等)
    原則として居宅系は5月15日、施設系は6月1日が期限ですが、令和8年6月15日まで柔軟に受け付けるものとされています。
 

●処遇改善計画書の提出

令和8年4月・5月分および6月以降分: まとめて令和8年4月15日までに提出します。
加算新設事業所(訪問看護等): 令和8年6月15日が提出期限です。

●実績報告書の提出

各事業年度の最終加算支払月の翌々月末日までに提出します。令和8年度分は、通常令和9年7月31日が期限となります。

●変更届

会社合併や事業所の増減、加算区分の変更が生じた際は、その都度「変更届出書」を提出する必要があります。


処遇改善が未実施の場合は返還が求められる場合も

処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善が行われていない場合や、算定要件を満たしていないと判断された場合、都道府県知事等は既に支給された加算の一部または全部を「不正受給」として返還させることができます。特に、以下のケースでは取り消しや返還の対象となります。

  • 加算額に相当する賃金改善が行われていない
  • 経営悪化などを理由に賃金水準を引き下げたにもかかわらず、「特別な事情に係る届出書」を提出していない
  • 虚偽の報告や不正な手段を用いて加算を受けた

虚偽記載や不正請求が悪質な場合、または指定権者(都道府県や市町村)からの求めに応じず根拠資料の提出ができなかった場合には、加算の返還だけでなく、介護サービス事業所としての「指定取り消し」に至る可能性があることが明記されています。

事業者は以下の義務を遵守する必要があります。

  • 全額支出の原則
    処遇改善加算として給付される額は、全額を職員の賃金改善のために支出しなければなりません。
  • 賃金水準の維持
    原則として、加算による改善分を除いた元の賃金水準を低下させてはなりません。
  • 書類の保管
    就業規則や給与明細、資質向上計画などの根拠資料を適切に整備し、2年間保存する義務があります。指定権者から求められた際は速やかに提示しなければなりません。

このように、処遇改善加算は「受け取って終わり」ではなく、計画通りの賃金改善とそれを証明する適切な事務処理が厳格に求められるということです。

<まとめ>経営者が今準備すべきこと

令和8年度の介護報酬改定に向けて、経営者が今から準備すべき事項は、主に以下にまとめられます。

1. 賃金改善計画の策定と「ベースアップ」の検討

今回の改定の最大の柱は、介護従事者一人あたり月額1.0万円(3.3%)、生産性向上等に取り組む場合はさらに0.7万円(2.4%)の賃上げを実現することです。新たに増加する加算額については、一時金ではなく、「ベースアップ(基本給または決まって毎月支払われる手当の引き上げ)」により行うことが基本とされています。
経験・技能のある介護職員への重点的な配分に留意しつつも、事業所の判断で他の職種を含めた柔軟な配分が可能です。そして、 加算として給付される額は、全額を職員の賃金改善のために支出しなければならないため、支給額のシミュレーションが必要です。

2. 生産性向上・協働化(新区分)への対応判断

令和8年6月から新設される「処遇改善加算Ⅰロ・Ⅱロ」を算定するためには、以下のいずれかの「令和8年度特例要件」を満たす必要があります。上乗せ加算を取得したい場合はどの要件を目指すか、早期の判断が求められます。

  • 訪問・通所サービス等⇒ケアプランデータ連携システムの利用
  • 施設サービス等⇒生産性向上推進体制加算(ⅠまたはⅡ)の取得
  • 社会福祉連携推進法人への所属

なお、申請時点で準備が間に合わない場合でも、「令和9年3月末までに行うこと」を誓約すれば、算定を開始できる配慮措置があります。

3. 就業規則等の整備と周知

処遇改善加算の算定要件である「キャリアパス要件」や「職場環境等要件」を満たすための内部規定の整備も必要になります。職位や職責に応じた任用要件、賃金体系、昇給の仕組み(キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ)を書面(就業規則等)で整備しなければなりません。

また、策定した計画や就業規則の内容は、全ての職員に周知する必要があります。職場環境等要件(全28項目)への取組内容を、自社ホームページや「介護サービス情報公表システム」に掲載する準備を進めなければなりません。

4. 提出スケジュールの確保

提出期限が非常にタイトであるため、早めに書類作成の体制を整える必要があります。

提出期限は令和8年4月・5月分、および6月以降分を合わせた計画書の提出は、令和8年4月15日までに行う必要があります。訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援等の事業者は、6月から新たに加算対象となるため、令和8年6月15日までの提出に向けた準備が必要です。

5. 食費改定への対応(※施設系のみ)

令和8年8月からの食費の基準費用額引き上げ(1日100円アップ)に伴い、利用者への説明や契約書の取り交わし等の事務作業が必要となります。

さいごに

今回の改定では処遇改善加算の拡充により、職員の賃上げを進めやすくなる一方で、「どの職種にどの程度配分するのか」「ベースアップをどのように設計するのか」といった賃金設計の検討が、これまで以上に重要になります。

特に、加算を活用した賃金改善を適切に行うためには、自社の給与水準や職種間のバランスを客観的に把握することが不可欠です。弊社では、介護事業所様向けに賃金分析サービスを無料で実施しております。自社の給与水準や配分の考え方を整理する機会として、ぜひお気軽にご活用ください。まずは初期相談からでも構いません。

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コラム監修者

ディレクター
R.OKURA

  • 経歴
    大学卒業後、商社で購買物流や事業開発、M&A業務に携わり、宿泊事業のコンサルを経てCBパートナーズに入社。地域密着型デイサービス、訪問介護、居宅介護支援事業所、就労移行支援事業所などの介護分野から、社会福祉法人までをご支援。株式譲渡・事業譲渡・持分譲渡など多様なM&Aを手がける。