地域包括ケアの核となる期間が病院です。
該当する地域の人口減少や高齢化によって、少しずつ収益構造や運営体制に変化が生じ、従来の運営方法では難しくなっているケースが増加してきております。そこで一つの解決策として、M&A・事業承継などが選択されるケースがあります。
また、地方自治体が経営していた病院が民間の経営に切り替わるなど、他の業態・業種以上に多様な形での承継が行われている傾向にあります。
病院のM&Aによる譲渡側のメリットは、創業者利益の獲得、地域医療の存続・継続が挙げられます。
地域医療の核となっている病院を廃業(閉院)することが実務上難しいことが多いことを考えると、
M&A・事業承継以外で病院の創業者が創業者利益を獲得することは簡単ではありません。
しかし、M&Aであれば、譲渡した後も病院経営は継続されるため、地域医療への影響は最小限に抑えられ、譲渡対価の形で創業者利益を確保することが可能となります。
病院のM&Aによる譲受側のメリットは、地域医療の核となる拠点を獲得できること、経営基盤がある程度安定している状態で事業開始が可能なことの2点が挙げられます。
病院を新たに新設して病床や医師をはじめとする人材を確保して経営を軌道に乗せ、
地域医療の核として安定的に運営できる状況にするには多くの時間と労力が必要になりますが、
事業承継・M&Aで譲受する場合には、この時間と労力を省略できるというメリットが一番大きいでしょう。