病院・クリニックのM&Aと民間企業のM&Aは、一見するとあまり違いが無いように見えますよね。
しかし実際には行政との折衝があるなど、プロセス面に大きな違いがあります。

この記事では、病院・クリニックのM&Aなどの手続きについて、民間企業のM&Aと異なる点を中心に、その流れや注意点などを解説いたします。

医療・病院・クリニックのM&A とは

民間企業である株式会社と同様、病院・クリニックを運営する医療法人もM&Aや事業譲渡が可能です。
医療法人のM&Aでは主に下記のケースが代表例となります。

  • 経営が悪化した病院・クリニックに対する救済型のM&A
  • 他の医療法人による事業規模の拡大などを目的としたM&A

前者は経営状態が悪化した医療法人を、大手や地元の有力医療法人が医療インフラ維持などを目的にM&Aを行うケースが該当します。

後者は医療法人が他の医療法人をM&Aで傘下に入れることで、事業規模やサービス領域の拡大を行うものです。

高齢化が進む日本では、病院・クリニックにおいても院長の高齢化の一方で後継者がおらず、事業承継のために医療法人をM&Aで身売りするケースが一定数存在するため、②のケースが増加しています。

医療・病院・クリニックのM&Aの手続き・流れ

病院のイメージ

病院・クリニックでM&Aが行われる際は、一般的には下記の流れで行われます。

  1. M&A専門家への相談
  2. 候補先の選定及び交渉
  3. デューデリジェンス(候補先の調査及び評価)
  4. 行政との折衝
  5. 最終契約の締結
  6. 受け渡し

病院・クリニックのM&Aは、院長同士の関係や行政の依頼などから開始されるケースもあります(特に前述「1.救済型のM&A」)。

よって「②候補先の選定及び交渉」の段階ではM&A専門家を必要としない場合もあります。

しかし通常の民間企業同士のM&Aとは異なるプロセスが存在するため、M&Aプロセス全体を見渡せば、病院・クリニックのM&Aに精通した専門家の存在は不可欠です。

尚、上記③の本格的なデューデリジェンスの前に基本合意書を締結するケースもありますので、注意しましょう。

医療・病院・クリニックのM&Aの確認書類一覧

医療の書類のイメージ

病院・クリニックのM&Aの際の主な確認書類としては下記があげられます。

売り手側
  • 臨時社員総会議事録(出資持ち分譲渡の承認、旧社員退社・新社員入社の承認など。株式会社の株主総会議事録に相当)
  • 役員辞任届
  • 旧社員(役員)の印鑑証明
  • 医療法人の登記簿謄本
  • 医療法人の印鑑証明
  • 決算書及び税務申告書
買い手側
  • 印鑑証明
  • 臨時理事会の議事録(新理事長選任に関する承認)
  • 役員承認承諾書
  • 理事長就任承諾書
  • 新役員の印鑑証明
  • 新役員履歴書
  • 医療法人の定款の写し(原本証明)
  • 新理事長の医師免許証の写し
その他
  • 最終譲渡契約書
  • 資産価値算定書(純資産計算明細書など)
  • 財産目録
  • 新旧社員役員名簿

医療・病院・クリニックのM&Aの注意点

病院のM&Aの注意点のイメージ

民間企業のM&Aは会社法に基づき設立された株式会社同士のM&Aが殆どです。
よって原則的には会社法に基づくプロセスのみでM&Aを進めることができます。

一方の病院・クリニックには、医療法人社団(持ち分の定めのない医療法人、持ち分の定めのある医療法人)、医療法人財団(医療法人財団、社会医療法人、特定医療法人)などの組織形態があり、それぞれ設立の根拠法が異なります。

よって各設立根拠法に基づいたM&Aの手続きが必要です。

また医療法人の設立には都道府県の認可が必要であり、M&Aの際も行政と様々なやりとりが発生します。

これらのように病院・クリニックのM&Aは通常の株式会社同士のM&Aにはない、手続き上留意すべき点があります。

医療・病院・クリニックのM&A ならCBパートナーズへご相談ください

民間企業同士のM&Aとは異なり、行政との折衝など独自のプロセスが存在する病院・クリニックのM&Aをスムーズに進めるには、専門的な知識・ノウハウを有したM&A会社をパートナーとする必要があります。

国内でもM&A会社は専門企業から金融機関まで多数存在しますが、病院・クリニックのM&Aに精通した会社は限られます。

よって病院・クリニックのM&Aを検討の際は、パートナーとなるM&A会社の選定も慎重に行う必要があります。

CBパートナーズは医療・介護・調剤薬局に特化したM&A会社であり、病院・クリニックのM&Aもこれまで数多く手掛けています。

そのため、病院・クリニックのM&Aのノウハウを蓄積しており、同分野のスムーズなM&Aのサポートが可能です。

病院・クリニックのM&Aを検討の際は、まずはお気軽にCBパートナーズにご相談ください。

まとめ

病院・クリニックのM&Aや事業譲渡は、一見すると民間企業である株式会社間のM&Aなどと比べ、大きな違いは無いように見えます。

しかし医療法人の種類により手続き自体が異なりますし、許認可権を持つ行政との折衝が必要となるなど、株式会社同士の場合とはプロセス面で大きく異なる面があります。

その為、病院・クリニックのM&Aや事業譲渡の際は、独自のプロセスに精通した専門家が必要となります。

病院・クリニックでM&Aや事業譲渡を検討する際は、信頼できるパートナーを選びアドバイスに基づきながら進めることをおすすめします。

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