M&Aというものをご存知でしょうか。Mergers & Acquisitionsの略で、「合併」と「買収」という意味になります。

簡単に言ってしまえば、どこかの企業が他の企業を買収したり、自社の事業を譲渡したりする行為や2つの会社を1つの会社に統合するような行為がM&Aとなります。

このM&Aのイメージは多くの方が持つことができるのですが、実際のM&Aはどのように進むのかは、基本的にはM&Aを実施したことのある企業の方でないとご存じない場合が非常に多いです。

そこで、今回は医療・介護・福祉業界専門のM&Aアドバイザリーである当社CBパートナーズが、日本でよく実行されている中小企業のM&Aの流れについて、ご紹介させていただければと思います。

 

M&Aを実施する前に検討すべきこと Consideration

M&Aは最短でも3ヶ月ほど、長ければ1年単位の時間がかかる行為ですし、会社と会社の大きな資産のやり取りとなりますので、手続きも複雑になります。

そのため、M&Aの実際の流れに入る前の準備はスピードを上げるためにも、M&Aの交渉の流れに入った後に気持ちが下がってしまうことを無くすためにも非常に重要になります。

特に、M&Aに関しては誰とどのように行うかが非常に大切になります。 

手続きの話だけをしてしまえば、M&Aは売り手・買い手の経営者様同士だけで行うことも不可能ではありません。しかし、実際には経営者様同士で行うと、互いの意見や条件などが少しずれていることが判明しただけで破談になってしまったりすることもありますし、やはり体力的にもとてもきついものとなってしまいます。

そのため第三者の意見を取り入れたり、売り手・買い手を探して交渉してもらえる、M&Aアドバイザリー(M&A仲介)を間に立てることが非常に重要になって参ります。

M&Aの契約開始から交渉までの流れ Negotiation

売り手がM&Aアドバイザーと接触

ほとんどのM&Aは、売り手の企業・事業の代表の方がM&Aアドバイザーに譲渡の意向を伝えることによってスタートします。

この際に、M&Aアドバイザーからは会社の決算書等の資料の提出や従業員数等の情報のヒアリングがされます。

また、譲渡をした後の話などもある程度ご希望を伺います。このようなやり取りの中で、どの形でM&Aを進めるのか等、今後の流れがアドバイザーと売り手様の間で決められていきます。

M&Aアドバイザー選定時の注意点

M&Aアドバイザーと一口で言っても、日本国内でもさまざまな事業を行っている法人があるのからもわかる通り、各アドバイザーにも得意な業種があります。

そのアドバイザーが、貴社が譲渡しようとしている事業の業界の専門的な知識があるかどうかは非常に重要な点となります。

専門的な話ができるかどうかで、買い手を見つけられる実力も変わって参りますし、交渉力や価値算定の結果も変化してきます。

当社CBパートナーズは、医療・介護・福祉業界専門のM&Aアドバイザーですので、医療・介護・福祉事業の経営者の方はお気軽にご相談くださいませ。

M&Aアドバイザーと2種類の契約

M&Aアドバイザーを決定すると、2種類の契約をこの段階で結ぶことになります。 

秘密保持契約

略してNDAやCAと呼ばれているものです。

一般的な業務提携などでも結ばれるものですが、M&Aでは情報漏洩が命取りとなりますので、アドバイザーは売り手様から決算書等の資料を受領した際には、必ず秘密保持契約を結びます。

また、買い手企業を探す際にも、売り手企業が特定できるような情報を買い手側に提示する前には、買い手側とも秘密保持契約を結びます。 

アドバイザリー契約

これは、自社の事業や法人の譲渡に対して、アドバイザリーとして正式に動いても問題ないという内容を契約として結ぶ内容となります。 

この契約書の中にはM&Aが成約した際のアドバイザーのフィー(報酬)などが盛り込まれることが一般的です。 

また、専属契約、非専属契約という種類があります。この専属か否かというのは、そのアドバイザー1社に自社の譲渡のM&Aを任せるかどうかということになります。 

売り手様としては、できるだけたくさんのアドバイザーと契約できたほうが安心という心理が働きやすいのですが、このアドバイザリー契約は確実に「専属がおすすめ」です。

理由としては、各アドバイザーが別々で動き、同じ買い手候補に売り手様の情報を提示した場合、大抵のケースで「価額が下げられてしまう」「買収意欲が下がってしまう」ということが発生します。

理由としては、複数のアドバイザーが同じ案件を提示してくることによって、”出回っている”や”なにかリスクがありそう”という心理が働いてしまうからです。 

そのため、アドバイザリー契約は専属で結ぶことをおススメしています。

また、一度専属でアドバイザリー契約を結んでしまっても、解除することも可能です。その場合には、新たなM&Aアドバイザーにご相談をお願い致します。

アドバイザーによる資料作成

売り手様との面談を終えたアドバイザーは、売り手様のご希望と決算書の内容を参考に、売り手様向けの価値算定資料を作成します。

この価値算定資料の中で、売り手様の譲渡対象の事業や法人が大体どれくらいの価値(価額)がつくかをご説明します。

このタイミングで、譲渡(M&A)に向けて本格的にアドバイザーが動いても問題がないかを確認させていただき、問題がなければ次のM&Aは次のフェーズ(買い手探し)に進みます。

ノンネームシートの作成&買い手打診

売り手様より、買い手打診を許可されたアドバイザーは、ノンネームシートと呼ばれる、それを見ただけでは企業を特定できない情報のみを載せた資料を作成し、買い手候補の方々に打診をしていきます。

ノンネームシート自体も業態やアドバイザーによって異なりますが、多くのノンネームシートは 

・業種(業界)
・地域(狭めても都道府県レベルまで) 
・従業員数(20名程度等) 
・売上高(1~3億円等)
・営業利益(2,000~3,000万円等) 
・譲渡理由(後継者不在等)
・譲渡方法(事業譲渡等) 
・譲渡希望時期(半年以内等) 

で構成されています。 

これを買い手候補の方々に提示することで、買い手候補の方々の中で、ある程度興味を持って手を挙げていただいた企業のみに詳細情報を提示することができ、秘密保持が可能になるのです。

ネームクリアをする

ノンネームシートの段階で興味を持っていただけた買い手候補企業様には、ネームクリアと呼ばれる、より詳細な情報を記載した案件概要書等による詳細情報の公開を行います。

この際、情報漏洩防止のため、買い手候補企業様とアドバイザーの間で機密保持契約を結びます。

買い手企業からの条件提示

買い手候補企業様側から、詳細条件を見たうえで、
買収(M&A)を実施するにあたっての条件を提示いただきます。

この条件を売り手様に開示し、
その中から次の面談に進む買い手候補企業様の選定が行われます。 
※ここで提示されたものは最終条件ではありません

トップ面談を実施する

売り手企業様側が、提示された条件を見た上で、話を前に進めたいと思う買い手候補企業様がいらっしゃった場合、トップ面談と呼ばれる、売り手と買い手候補企業の代表者同士が顔を合わせて話をする場が設けられます。

ここでは、代表者様の人となりやこれまでの法人の歴史、
従業員に対する思いや経営方針など、会社の細かい数字以外にも話が及ぶことが多く、

売り手様側からすれば、“この企業(代表者)に事業を任せても大丈夫か” 

買い手候補様側からすれば、“この企業(代表者)の事業を引き継いでうまくやっていけるか” 

が確認されるような場だとご認識ください。 

このタイミングでは、買い手候補企業様を1社にする必要がないため、複数社とのトップ面談をご希望される売り手様もいらっしゃいます。

 

M&A契約を完了させるまでの流れ Flow of Agreement

 

基本合意書を締結させる

トップ面談まで進み、売り手様から承認された買い手候補様がいらっしゃった場合、
諸条件の調整を行い、売り手様と買い手様の間で基本合意契約を締結して頂きます。

買い手がデューデリジェンスを実施する

順番が前後する場合もありますが、デューデリジェンス(買収監査)と呼ばれる買い手様主導の監査が行われます。

一度買収すると、大抵の責任やリスクを買い手企業が背負うことになるため、買収しても問題がないのかという観点で、財務・法務・税務における確認を買い手企業様から売り手企業様に面談形式で監査が行われます。

最終条件の提示と最終合意契約書

デューデリジェンスを踏まえたうえで、買い手企業様側から、最終的な買収条件を提示いただき、最終合意書を作成していきます。

デューデリジェンスによって、前回の条件提示時点では判明していなかった、簿外債務等が発覚した場合には、条件調整が行われることもありますが、特段売り手企業様にマイナス要因がない場合には条件が変えられることはあまりありません。

そして、ここで作成された最終合意契約書を締結することで、最終ステップに進んでいきます。

クロージング

クロージングと呼ばれるフェーズに移ると、関係各所にM&Aが実行される旨を売り手様買い手様双方でご説明を行って頂くことが一般的です。

また、行政等の手続きもこのタイミングで実行される場合が多いです。このフェーズまで完了して、晴れてM&Aが最終的に完了したことになります。

最後に message

さて、いかがだったでしょうか。

この流れをM&Aアドバイザーなしで行おうとするのは効率も体力的にも適切ではありません。
また、売り手様の業種・業界について無知なアドバイザーに依頼をするのも、お勧めできません。

当社は医療・介護・福祉事業専門のM&Aアドバイザリーです。医療・介護福祉業界のM&Aのご相談であれば、お気軽にお問い合わせくださいませ。
M&A成約まで、無料かつ誠実に、業界の専門性を持ってご対応致します。

密接に関連し多岐にわたる医療・介護分野の経営課題を解決するために、わたしたちは、日々お客様のニーズに応え一つ一つのサービスを深化させながらさらに新たな視点でのサービス拡充を目指しています。

これからもより効率的で効果的にワンストップで経営課題を解決するトータルブレーンとして、私たちCBグループは、お客様の『One & Only』であり続けます。