病院・クリニック

病院・診療所の事業譲渡のメリットや失敗しないために必要な手続き、手段、留意点とは

  1. 介護・医療・福祉のM&AならCBパートナーズ
  2. M&A・事業譲渡コラム
  3. 病院・診療所の事業譲渡のメリットや失敗しないために必要な手続き、手段、留意点とは
M&Aを活用するメリットとは

 

CBグループでは、20年以上病院、診療所向けに様々なサービスを行ってまいりました。昨今では、時代の変化に伴い、病院、診療所の事業譲渡や事業承継のご相談を頂くことが年々増えており、2023年につきましてはご相談を100件以上頂いております。

本コラムでは、病院、診療所の事業譲渡、事業承継において、失敗しないようするための、手続き方法や、手段、進め方の留意点について解説します。

病院、診療所の事業譲渡や事業承継について、弊社にご相談を頂くきっかけとして、以下の理由が多くなっております。

病院やクリニックの承継におけるM&Aとは何か

一般的にM&A(合併と買収)とは、医療機関の承継において、企業同士が合併したり、あるいは一方が他方を買収する取引を指します。
病院やクリニックのM&Aは、事業規模の拡大や効率化を図るために行われる場合が多く、組織の強化や医療サービスの充実が主な目的となっています。
病院やクリニックで大きなトレンドとなっているのが、日本全体で進む高齢化です。高齢化による社会保障費の費用負担増加などによって診療報酬の切り下げが続いており、病院の経営努力だけではどうにもならない状況にまできています。
また慢性的な人材不足も続いており、これらを解決し地域医療や事業継続のためにM&A自体が増加傾向にあるといえます。

■M&Aのメリットとデメリット
M&Aのメリットとしては、まず、規模の拡大による経済効果が挙げられます。組織間のシナジー効果により、効率的な運営が可能になる場合があります。
また個人で開業する場合には、医院の内装や医療機器を活用できることから新規開業と比較すると初期費用を抑えることができます。
それ以外にも売上やかかる費用などもある程度予測ができるため、事業の見通しが立ちやすく、患者をそのまま引き継ぐことができるため、開業時から売上をある程度確保することが可能といえます。

病院や診療所の事業譲渡、事業承継の相談理由や背景について

①後継者が不在である
-ご子息が不在あるいは、医師の道に進んでいない 
-ご子息が医師ではあるが、別の地域に住んでおり、帰ってくる予定が無い
-ご子息が医師ではあるが、ご子息には継がせたくないと思われている
-雇っている医師はいるが、経営を継がれる予定はない

②従業員に問題を抱えている
-常勤医師、事務長、看護部長などのキーマンの退職
-従業員の高齢化や世代交代がうまくできていない
-採用の難化により、病床の維持や、患者の対応人数に限界を感じている

③患者数の減少
-院長の高齢化や体力低下に伴い、診療数に制限がかかっている
-地域の人口減少
-競合の増加

④不動産の管理
-昔の建造物のため、老朽化が進み建て替えが必要だがその予算が無い
-診療、運営などはお任せして、不動産の管理業のみを行いたい 

病院、診療所ごとに、様々な背景がございますが、「①後継者が不在である」「②従業員に問題を抱えている」というご相談を多くお寄せいただきます。

病院や診療所の承継候補について

病院や診療所の承継候補については、それぞれ特性が違います。

■病院
・主な承継候補は医療法人
・同一医療圏での医療法人の承継が多い
・最近では医療ファンドによる承継も増加

■診療所
・主な承継候補は、開業を希望されている個人の医師
・現勤務先との兼ね合いから、春の承継タイミングが多い
・同一医療圏での医療法人の承継もある
・介護事業を運営する法人の承継ニーズも高まっている

規模が大きくなるほど、承継候補先は法人となり、規模が小さくなるほど、個人の開業希望医師が承継候補となります。

地域や医療サービスによっても変わりますが、双方の希望がマッチするように意向をすり合わせて承継を進めます。

病院や診療所の事業譲渡、事業承継の手続きについて

病院や診療所の事業譲渡、事業承継に係る手続きは以下の通りです。

  1. 承継候補の選定
  2. 地域の保健所、医務課への相談(事前協議)
  3. 地域の医師会への相談
  4. 医療専門分科会での協議(病院などの場合)
  5. 開設許可申請(都道府県や事業体による)
  6. 定款変更(医療法人の場合)
  7. 開設届の提出
  8. 厚生局への保険医療機関指定申請
    ※自治体、事業によって順番の前後や追加の相談、申請等はございます。

承継候補が決まった後に、譲渡や承継を実行するまでに、様々な相談や申請などを行う必要があります。

これらは、地域によっての特性がありますので、実際に手続きを進めていく際には、まずは地域の保健所や医務課と相談しながら、正しい順序をすすめていくことになります。

事業譲渡、事業承継を失敗しないための留意点

病院、診療所の事業譲渡や事業承継において留意する点を開設します。

■秘密情報の管理
事業譲渡、承継に関するお話は極めて重要な情報です。
思わぬところで出回ってしまうと、いつのまにか従業員や医師会などに知られてしまうなど、
風評被害に繋がる可能性もございます。
情報をいつどのタイミングで誰に提出するかは細心の注意を払う必要があります。

■医師会入会の有無
医師会に所属しているかどうかによっても進め方が変わります。
また、承継や運転資金の調達にも関わってくるため、
双方でのすり合わせが必要となります。

■従業員へのフォロー
承継後も継続して勤務される従業員は多いです。
承継後も気持ちよく働くための諸条件の担保はもちろんですが、
事業譲渡や事業承継の場合、従業員との雇用契約の再締結が必要です。
退職金や有給などの取り扱いは重要な論点となります。

■患者への説明
患者の多くは、現院長先生を慕って通院されております。
そのため、承継候補にスムーズに引き継ぐためには、
双方での協力が必要不可欠です。
引継ぎの仕方や、承継前後での診療体制を整える必要があります。

本コラムでは、病院、診療所の事業譲渡、事業承継について解説しました。
もし、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

事業譲渡・事業承継に関する相談をする