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<医療・ご譲渡>早めの承継で叶えた理想の「リタイア」と「ライフプラン」

小谷 圭 様

兵庫県で糖尿病内科のクリニックを約16年にわたり運営されてきた、小谷圭先生(以下、小谷先生)は、2025年6月に同クリニックを、承継開業を希望されていた先生へ事業譲渡されました。今回は、開業の経緯から譲渡に至るまでの想い、そして譲渡後に描く理想のライフプランについてお話を伺いました。

クリニック所在地

兵庫県

診療科目

糖尿病内科

譲渡理由

後継者不在

ストラクチャ事業譲渡

クリニックを開業された経緯をお聞かせください。

転機になったのは、勤務医として働いていた当時、「新臨床研修制度」が始まったことです。この制度の影響で、病院に研修医が全く来なくなってしまい、最初は2人いた研修医が1人になり、ついにはゼロになりました。病院独自で研修医を確保しようとしても思うように集まらず、「このまま1人でやっていくのは難しい」と感じるようになりました。

そんな時、勤務医だった父に何気なく「開業しようかな」と話したのが始まりです。その会話をきっかけに、父の同級生である開業医の先生を紹介され、現在クリニックを構えるこの場所の物件を案内していただきました。

とはいえ当初は、開業への具体的なイメージが持てず、気持ちもなかなか定まりませんでした。しかし、その先生から再び連絡をいただき、資金調達や物件の話が次々に進む中で、自然と開業に向けた流れができていきました。

また、当時の勤務先は土日が休みであったこともあり、開業後もプライベートの時間を大切にしたいという思いがありました。そのことを後輩医師に相談したところ、「開業なら自分のライフスタイルに合わせて休みを決めればいいんですよ」と言われ、その一言にハッとさせられました。プライベートと仕事を両立できる働き方もあると気づき、少しずつ不安が解け、前向きな気持ちが芽生えました。

そして、開業するなら自分らしい形でと思い、当時はまだ珍しかった“専門クリニック”というスタイルで、2009年にこの地での開業に至りました。

小谷圭先生

いつ頃から、承継をお考えになられましたか。背景を教えてください。

きっかけとなったのは、長年一緒に働いてきた常勤の看護師が退職することになったことです。辞めると聞いた時は本当に驚きましたし、それを機に従業員の勤務体制も大きく変わることになりました。そしてふと、「このクリニックの“終わり方”ってどうあるべきなんだろう」と考え始めました。

― 閉院という選択肢はございましたか。

「閉院」は一度も考えませんでした。それが一番よくない選択肢だと思っていましたし、やっぱり、うまくいっているうちに譲るのが一番いいと考えていました。

人間ってどうしても、物事が悪くなってから対処しようとしがちですよね。でも、それでは遅いし、そういう終わり方はしたくないとずっと思っていました。

CBパートナーズへご相談いただいたきっかけを、教えてください。

実は最初にCBパートナーズに相談したとき、すぐにクリニックを譲渡するつもりはありませんでした。ただ、一度話だけでも聞いてみようかなと思い、届いたDMを見て、FAXで問い合わせをしたのがきっかけです。とはいえ、そのFAXを送るかどうかも、正直かなり悩みました。ですが実際にお会いして話を伺ったことで、「あ、こういう形で承継できるのか」と、なんとなくイメージが湧いてきました。

その後、まずはクリニックの価値診断を受け、譲渡までの流れについても詳しく聞かせてもらいました。もともと、クリニックを開業したときから、「67歳くらいでリタイアできれば」と漠然と考えていたのですが、話を聞いたことで「早めに動くのもアリかもしれない」と思えるようになったんです。

もちろん、そんなにすぐにお相手が決まることはないだろうと思っていて、1年から3年くらいかかるつもりでいました。時間がかかるかもしれないからと立ち止まるのではなく、まずは動いてみよう、と。最終的な決定権はこちらにあるのですから、あせらず自然な流れに任せようと考えるようになりました。

ご譲渡の相談を開始されたタイミングは、小谷先生にとって適切でしたでしょうか。

本来は67歳でリタイアするつもりでしたので、正直「もう少し先でもよかったかな」と思う気持ちはありました。(ご譲渡時は65歳)

ただ、いつかは必ず幕引きの時が来るものですし、体が元気なうちに動けたことは前向きに捉えています。また引退後に思い描いていた生活が2年前倒しになったと考えれば、それも一つの価値ある選択だったと思っています。今はしっかりと自分の中で納得できており、後悔はまったくありません。

アドバイザーの対応・印象はいかがでしたでしょうか。

アドバイザーの方の印象はとても良く、丁寧な対応に安心感を持つことができました。
最初は「譲渡に向けて本当に進んでいるのかな?」と半分疑心暗鬼のような気持ちもありましたが、買手候補先への打診許可確認の頃には、しっかりと動いてくださっている様子が見え、不安は自然と解消されていきました。

以前、不動産を売却しようとした際には、進捗が見えず不安を感じた経験があり、「きちんと進んでいることが見える」ことの大切さを改めて実感しました。今回はその点でも、信頼できるご対応をしていただけたと感じています。

ご譲渡までの流れで、一番印象に残っていることを教えてください。

譲渡先の先生との面談が特に印象に残っています。譲渡先の先生はとても若い先生だったため、正直なところお会いした後に「やっぱり辞めます」と言われるのではないかという不安がありました。

患者様も多く、売上も一定程度見込める状況ではありましたが、業務内容は勤務医とは異なる部分も多いことから、「話を聞いてみてどう?」と確認したところ、先生は力強く「やりたいです!」と言ってくださいました。

その言葉と表情から、私自身も譲渡にむけてしっかり準備を進める決心ができました。

譲渡先(後継者として)で重要視されていたポイントはありますでしょうか。

糖尿病専門のクリニックですから専門医でなければ、このクリニックの診療はとても務まらないと考えていました。譲渡先が法人であっても、専門医を確実に確保できるのか、また個人の医師であっても専門医資格を取得されているかどうかという点が、後継者選びの大きなポイントでした。

ご譲渡に対して、患者様や従業員の方々の反応はいかがでしたでしょうか。

譲渡のことを伝えたとき、患者様も従業員も「え?嘘でしょ!?」と、本当に驚かれていました。

中でも一番悩んだのは、従業員への告知でした。(今回は事業譲渡になるため)譲渡の1か月前には伝えなければいけないと分かってはいたのですが、なかなか言い出せず、「今週こそは」と思いながらもずっと悩み続けていました。どう伝えるべきか、本当に苦労しました。

最終的には診療の合間を使って、一人ひとりに「実は…」と声をかけていきました。皆とても驚いていましたが、きちんと伝えることができたことで、私自身も少しずつ気持ちが整理されていきました。

院長としての最終日には、従業員の皆からサプライズで写真や花束をいただき、本当に嬉しくて、思わずうるっときてしまいました。また、患者様からも花束をいただくなど、感極まる場面が多くありました。

知り合いの先生に承継のことを伝えた際には、「どうして!?」と少し怒られたりもしましたが、今では本当に良い形で引き継げたと実感しています。閉院せず、きちんとバトンを渡せたことで、自然と「いい幕引きができたな」と思えるようになりました。

ご譲渡完了後、現在の心境をお聞かせください。

譲渡を終えた今は、どこかぼんやりとした気持ちですが、寂しさは感じていません。それよりも、「自分がいなくてもクリニックがちゃんと回っているんだな」という安心感が大きく、心からほっとしています。

―ご譲渡完了後、感じたことや気づいたことがあればお聞かせください。

譲渡後にクリニックの名前を変えると聞いたときは、正直少し驚きましたし、リスクに感じる部分もありました。ただ、それは譲渡先の先生のご判断ですし、その意思を尊重したいという思いもありました。

患者様からも「名前が変わったんですね」と声をかけられることがありましたが、あるときふと思ったんです。「これはレストランと同じかもしれない」と。「代替わりして味が変わった」と言われると寂しいですが、それでも「あの時の味はよかったな」と語られるお店ってありますよね。私のクリニックも、そんなふうに記憶に残る場所になれたら、それで十分だなと思うようになりました。名前が変わることに、最初は少し腑に落ちない気持ちもあったのですが、そう考えられるようになったとき、不思議と気持ちが穏やかになりました。

人生においても、「自分では変えられないことを、どう受け止めて、どう納得していくか」は、とても大切なことだと改めて感じています。年齢を重ねることもそうですし、医師としてのキャリアの終わり方もまた、そうした「受け止め方」によって、意味のあるものになるのだと思います。

振り返ると開業当初、国内で初めて「糖尿病内科」を標榜し、完全予約制でスタートしたクリニックの方針は、一貫性を持って続けてきました。時代に合わせて必要な部分はアップデートしてきましたが、核となる“パッケージ”は変えなかった。そこは自分でも本当に良かったと思えるところです。

今後の目標や展望についてお聞かせください。

16年以上同じ場所に住み続けてきましたが、これからは少しずつ、いろんな土地に身を置いてみたいなと思っています。
というのも、自分の心は、どこか“旅人”のようなところがあるんです。イギリスに留学していた頃、それを強く感じました。旅行は大好きなのですが、帰るときはいつも寂しさが残って…。
そんな思いもあって、これからは暮らす場所も自由に選びながら、新しい景色を楽しんでいけたらと考えています。もちろん、医師としての知識のアップデートは、これからも変わらず大切にしていきます。

さいごに、クリニックの承継について悩まれている先生方へ一言お願いいたします。

小谷圭先生

一番お伝えしたいのは、「知識は持っておいた方がいい」ということです。

私自身、医師会の承継物件がなかなか決まらない現状もよく見てきましたし、承継は難しいイメージがありました。
承継は、縁とタイミングに大きく左右されるものです。少しでも興味や不安があるなら、できるだけ早いうちに専門家に話を聞いておいた方がいいと思っています。というのも、心配になってから動き出すのでは、うまくいかないこともあるからです。自身が健康で、冷静に判断できるうちであれば、選択肢も多く、自分らしい決断がしやすいと思います。

もちろん、話を聞いたからといって必ず譲渡しなければならないわけではありません。「譲渡をしない」という選択肢も、しっかり自分の意思で選べる状態のうちに動き出すことが理想です。

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