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医療業界の第三者承継における譲渡金額設定方法について

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第三者承継における譲渡金額設定の重要性

第三者承継を進める上で、譲渡金額設定は重要な論点です。譲渡側の立場からすれば譲渡金額は高ければ高いほうが良く、譲受側の立場からすれば、譲渡金額は低ければ低いほうが良いわけです。

これは世の常、当たり前のことです。ただ、双方がお互いの主張をぶつけても、双方希望する結果になる可能性は低いでしょう。そこで、このコラムでは第三者承継の重要な論点である譲渡金額設定方法についてご紹介いたします。

譲渡金額設定のロジック

従来、世襲制が一般的であった時代には、譲渡金額についてはそこまで大きな論点ではありませんでした。その名残からか、譲渡側の言い値で第三者承継が行われてきたことも多いと伝え聞きます。

しかしながら、時代の変化とともに、医療業界の第三者承継(M&A)において、「ロジック」に基づいた譲渡金額設定が求められるようになりました。他社様のホームページ等を拝見してみても、「時価純資産価額法」「DCF法」「類似会社批准法」「営業権」など、各社様々な算定ロジックを活用されていることが分かります。

このようなことから、医療業界における譲渡金額設定ロジックは画一的な方法が存在しないことがわかります。(裏を返せば、非営利性の特性や、院長依存の集患性ゆえ、それだけ価値を算出するのは難しいということです。)

そのような状況を考慮した上で、私は「時価純資産額+営業権」をベースに考えることが多いです。

譲渡金額設定の基本: 時価純資産額と営業権

【時価純資産額】

  • 対象事業における「過去~現在の価値」と判断します。
  • B/S上の総資産から負債を控除した額となります。

※B/S上の数字はあくまで目安であり、実際には実存確認や償却確認、時価評価としての算定、簿外債務があれば純資産の減額、といった手順を踏み、修正後B/Sを参考とします。

【営業権】

  • 対象事業における「未来の価値」と判断します。
  • 営業権は一言で表現すると、「譲渡対象の集患力を金銭的価値に置き換え評価したもの」です。

※営業権については、「院長の1年間の所得分」というような形で算出されることもあるようですが、CBパートナーズとしては、譲渡対象の直近期のP/Lから「修正後利益」を算出し、営業権を定めております。

以上が譲渡金額を設定する際の考え方のベースです。このベースを元に、譲渡側、譲受側双方が納得いく譲渡金額設定となるよう交渉を進めていくことになります。

譲渡金額の交渉と根拠の必要性

このコラムでは譲渡金額設定方法について、基本的な考え方を記載いたしました。ポイントは「医療において金銭的価値を評価するのは大変難しい」という前提条件において、実際に第三者承継を進める場合には、特に譲受側が納得できる根拠が必要であるということです。

もちろんその限りではないことも多々あり、例えば、借入金の清算が条件で事業評価0でも承継が成立したケースなどもあります。結論、実際の現場レベルでは冒頭申し上げた通り画一的な方法はございませんが、その中で私がベースにおいている考え方についてご紹介させて頂きました。

将来的な後継者の課題を抱える理事長や院長の皆様、将来的に自院の譲渡を検討されている場合には、現時点における自院の価値を客観的に知っておくことも今後の選択肢の幅を広げるという面で有益であると考えられます。

CBパートナーズは、無償で貴院の価値算定も承っておりますので、何なりお問い合わせください。

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