昨今、介護老人保健施設(老健)についてのM&Aニーズが当社に数多く寄せられています。
今回は老健の基礎知識とM&Aについて記載させていただきます。
介護老人保健施設(老健)とは、要介護高齢者の自宅復帰を目指すため、医師による医学的管理の下、看護・介護といったケアはもとより、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設です。入居期間は原則3~6か月の期間となっています。
入居条件は65歳以上の要介護認定を受けた方のうち、病状が安定していて入院治療の必要がない要介護度1~5の方で、リハビリテーションを必要とされる方です。認知症の方も入所が可能です。
また老健は介護保険法により5つに分類されています。
「超強化型老健」は5つの区分の中で最上位に位置しており、利用者の在宅復帰への貢献度が特に高いと評価された施設です。
老健の主なサービスは、以下のとおりです。
令和4年10月時点で老健の施設数は、約4,273か所あり、利用者数は35万人を超えています。
出典:厚生労働省 介護サービス施設・事業所調査の概況
要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療 介護保険施設の比較
出典:厚生労働省 介護老人保健施設
このように老健では、医療・介護以外の多様な職種のスタッフも連携しながらケア・サービス提供を行っています。リハビリを目的とする理学療法士などの専門スタッフの設置が義務づけられているので、他の施設よりも個人の状態に合わせた手厚いサービスが受けられます。
先述の通り、老健では自宅復帰を目的として医療的ケアやリハビリを行いますが、特別養護老人ホームの目的は居住や生活で、終身にわたって利用することができます。また特養では自立支援を提供し、入居条件として要介護3~5と介護度が高い高齢者が対象です。
令和6年度の介護報酬改定では老健は在宅復帰を目指すことに対して高く評価される方針で、そのための環境を整えた施設においては基本報酬が引き上げられます。在宅復帰・在宅療養支援機能の強化、リハビリテーション機能の強化、看取り・ターミナル対応など多様な論点が挙がり、老健の5分類の間で基本報酬に差をつけるような評価が行われました。
老健は入居期間が終身ではなく在宅復帰を目的としているためリハビリ支援が手厚いのが特徴です。そのため、医療機関や在宅施設サービスとの相性が良くM&Aにおいてもニーズの高い業態となっています。
・病院 ⇒ 老健
病院で入院していた患者様の退院後の受け皿として
・老健 ⇒ 住宅型有料老人ホーム、サ高住
老健の利用者の在宅復帰先として
※「⇒」は買収の方向を示しています
・老健には総量規制がかかっているため、事業譲渡では行政の新たな許認可が必要になります。
・補助金の返還を求められる可能性があるため、M&Aの実行前に行政への確認が必要になります。
老健はとても特殊な業界であるため、M&Aの譲受候補先が限られます。また規制がある業界でもあるため、専門的な知識も要求されます。
老健等のM&Aに興味を持たれたましたら、医療介護業界に特化した当社にお任せください。