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<介護・ご譲受>さらなる拡大を見据えた第一歩。経営基盤とスタッフのキャリアを同時に築くM&A

大橋 弘毅様

静岡県内で複数のデイサービスを運営されている介護法人の代表・大橋 弘毅様(以下、大橋様)は、今回、当社のご支援のもと静岡県内のデイサービス事業を譲受されました。本インタビューでは、譲受を決断された背景や、譲受後の変化、そして今後のビジョンについてお話を伺いました。

今回譲り受けた事業

本社所在地

静岡県

業態

大規模デイサービス

ストラクチャ

事業譲渡

介護業界に関わるようになったきっかけや、経営に携わるまでの経緯を教えてください

大橋様お写真

もともと介護事業を立ち上げたのは、私の父でした。「社会に貢献したい」という想いから、介護事業を立ち上げたと聞いています。私自身は最初から「後継者」を強く意識していたわけではありませんが、介護事業に関わるようになったきっかけは、当時代表を務めていた祖母をサポートするために、現場に入ったことでした。実際に現場に立ってみると、「ここをもう少しこう変えたら良くなるのに」と感じる場面が次々と出てきました。現場の課題に気づき、少しずつ改善を重ねていくうちに、自然と会社の中心になって動くようになり、気がつけば経営を担う立場になっていた、というのが実感に近いですね。

事業拡大を考えた背景と、その中で新規立ち上げではなく「譲受」という形を選ばれた理由を教えてください

人件費や光熱費といったコストも年々上がっていますし、介護報酬の面でも厳しい流れが続いています。そうした環境の中で、事業を安定的に継続していくためには、ある程度の規模まで会社を成長させていくことが不可欠だと感じていました。

もう一つの理由として大きかったのが、人材面の部分です。M&A時の当社は、私を含め30代の施設管理者が中心となっていました。現状の規模のままでは、この管理者達の将来的なキャリアの選択肢、ひいては現場職員のキャリアアップ先を十分に用意できないと感じていました。事業拡大によって役職を増やし、収益を高めていかないと、結果的に従業員にとっても先が見えにくい状況になってしまいます。これまで育成してきた人材を次のポジションに送り出していく。そのためにも、拡大は必要だと考えていました。

一方で、新たに建設して事業所を立ち上げるのは、現実的な選択肢ではないと考えています。建築資材の高騰に加え、資金回収までに時間がかかることを考えると、負担が大きいと感じていました。

また、賃貸物件での新規立ち上げについても、検討の余地はあるかもしれませんが、希望する条件に合う物件を見つけるのも簡単ではなく、管理者の育成コストも新たにかかります。そうした点を総合的に考えた結果、新規で立ち上げるのではなく、既存の事業を譲り受ける形が最も現実的だと判断しました。

当該事業の譲り受けをご検討される中で、悩まれた・迷った点はありましたか

これといって悩んだ点はないのですが、今回は「事業譲渡」という形だったため、一般的なデューデリジェンスは実施していません。その分、見えにくいリスクがないかという点についてはもちろん留意しました。

実際には、気になる点があればアドバイザーの方や弁護士に相談しながら確認を進めましたし、事業所の周辺にも週に2回ほど足を運び、現場の様子を自分の目で確かめていました。また、M&Aの話が表に出ないよう配慮しつつ、周辺のケアマネジャーの方々にヒアリングを行い、地域の状況を確認したりもしましたね。

―お話合いを進める上で、特に重視したポイントは何でしたか

財務状況を見たうえで、「改善できる余地がある」と判断できたことが大きかったと思います。当社ではすでに標準化できている取り組みが、まだ手つかずの部分として残っていましたので、そこは当社の運営方針や仕組みをそのまま当てはめていけば、十分に改善できると感じていました。その点を踏まえると、条件面も含めて、今回の譲受は現実的で納得感のある選択だったと思います。

譲受後、事業や組織にどのようなプラスの変化がありましたか

一番メリットだと感じたのは、事業を譲り受けたことで、自社の中で新陳代謝が生まれたことですね。これまで自社の中で「やりたい」と考えていた取り組みを、譲り受けた事業所で実際に導入するきっかけにもなりました。

それと同時に、自社の魅力を改めて再発見できた点も良かったと思います。自分たちにとっては当たり前だと思っていた取り組みや考え方が、他社ではまだ行われていなかったり、実は強みとして評価されるものだったり、普段は近すぎて見えていなかった部分に、改めて気づかされましたね。

また、人材面でも新たな発見がありました。例えば、ある方にプレゼンを思い切って任せてみたところ、想像以上に上手だったり、これまであまり目立っていなかった方が、実はこんな強みを持っていたんだ!と気づかされる場面がありました。想定していなかった役割で力を発揮してくれたことで、社内の人材の活かし方を改めて見直すきっかけにもなりましたし、結果としてチームの一体感も生まれ、組織全体がブラッシュアップされたと感じています。

介護業界は、どうしても日々の業務がルーティンになりやすく、自身の成長を実感する機会が少ないと言われがちです。実際に、「自分のスキルが成長している実感がない」という声をスタッフから耳にすることもあります。今回、譲り受けするにあたり大変なこともありましたが、普段の運営だけではなかなか直面しない壁に向き合うことができました。私含め従業員の成長機会という意味でも、良い経験だったと感じていますし、「この会社についていったら、何か面白いことがありそう」と感じてもらえるような環境を、これからもつくっていきたいと思っています。

スタッフの引継ぎや業務フロー、システムの統一にあたって、特に意識された点や大変だったことはありますか

スタッフの引継ぎなどで意識した点としては、できるだけ丁寧に話を聞くことです。一方的に物事を進めるのではなく、現場の声を聞きながら進めていく。この点については特別な対応というよりも、普段から社内で大切にしているやり方と変わらないと思います。

システムについては整理を行い、既存のシステムに統一しました。当社では早い段階からICT化を進めてきたので、今回もタブレットの台数を増やしたり、通信環境を整えたりと、必要な投資を行っています。
以前、社内でICT導入を進めた際もそうですが、導入当初はどうしてもスタッフの精神的な負担が増える場面があります。ただ、最初の3か月だけ踏ん張ってもらえれば徐々に慣れていき、1年ほど経つと「もう以前のやり方には戻れない」と言われるくらいになります。今回も、譲受先のスタッフの方が、請求業務が以前より想像以上に早くなったことに驚かれていました。

業務フロー等の統一に関しては、特別大変だったことは正直あまりなく、基本的にはこれまで社内で取り組んできたことをそのまま当てはめていく形でしたので、日常業務の延長という感覚でした。前提として、当社の業務フローや制度を大きく活かせないケースであれば、無理に譲り受けを進めることは考えていなかったと思います。

ただ、こうした「変化」を進めるうえで、私が常に意識しているのは、「なぜ変えるのか」という背景まできちんと伝えることです。変更点だけを一方的に伝えてしまうと、どうしても疑問や不信感が生まれやすくなりますよね。だからこそ、なぜ変えるのか、そして変えたことでどうなるのか、という見通しまで含めて伝えるようにしています。そうすることで、現場の方にも納得感を持って受け止めてもらえるのではないかと感じています。

CBパートナーズのアドバイザーの対応やサポート体制などはいかがでしたでしょうか

今回のM&Aでは条件や数字といった表面的な部分だけでなく、売主様の想いや背景まで含めて、きちんと引き継ごうとされている姿勢を感じました。その点についても、非常に丁寧に寄り添っていただけたと感じています。

一方で、これは私の関係者がM&Aを経験した際に聞いた話ですが、業界への理解が十分でない仲介会社が入ったことで、デューデリジェンスを行っていたにもかかわらず、後から見ると「ここは抜けていた」と感じる点が多かったというケースもあるようです。

最近はM&Aを手がける会社も増えていますが、その分、どこに依頼するかはやはり慎重になる必要があると思います。仲介手数料を支払う以上、業界特性や押さえるべき勘所を理解しているかどうかは大きなポイントですし、売主・買主ともにM&Aが初めてというケースも多い中で、アドバイザーの理解度によって判断のしやすさは変わってくると感じます。そうした点を踏まえても、今回は大きな迷いなく、納得感を持って進めることができました。

大橋様の今後のビジョンや、新たにチャレンジしてみたいことがあれば教えてください

すでに少しずつ動き始めている段階ですが、介護事業のコンサルティングに取り組んでいきたいと考えています。

今回のM&Aで得た知見も活かせそうですし、コンサルティング事業を通して、地域や他社の状況、抱えている課題や環境が見えてくると、「こういうサービスがあった方がいいのでは」といった新たなアイデアも自然と出てくるのではないかと感じています。また、今後も譲り受けという形で、5年以内を目安にM&Aで事業の拡大を検討していきたいと考えています。

では最後に、これからM&Aによる事業拡大を検討されている経営者の方へメッセージをお願いいたします

大橋様お写真

冒頭でも事業を譲り受けた理由についてお話ししましたが、今後も事業を継続していくことを考えるのであれば、M&Aという選択肢を最初から外してしまう必要はないと思います。

また、経営者の立場から見ても、スタッフのキャリアアップやスキルアップを本気で考えるのであれば、どこかで事業拡大は避けて通れないと感じていますし、役割や成長の機会をつくるという意味でも、M&Aは有効な手段の一つだと感じています。M&Aと聞くと難しく構えてしまいがちですが、最初から大きく考えすぎず、ミニマムに取り組んでみるといった考え方も十分にあると思います。

実際に今回M&Aを経験してみて、いざやってみると、想像していたほど特別なものではない、というのが率直な印象です。そのうえで大切なのは、M&Aという選択肢を持ち続けること、そして仲介会社をはじめとした、信頼して協業できるパートナーをきちんと見極めていくことだと思います。

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