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【2024年度の診療報酬改定】医療DXから生まれる格差に準備する

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医療の経営に携わる方や医療従事者の方にとって、2024年(令和6年)は今まで以上に優良な医療の提供を進めるにあたり、高度な経営戦略を求められる年になるでしょう。

なぜならば2024年(令和6年)は、診療報酬、介護報酬さらには障害福祉サービス等報酬が同時に改定される、いわゆるトリプル改定が行われるからです。さらに、改正医療法による働き方改革施行、医療介護総合確保方針、第8次医療計画、第9期介護保険事業計画、医療保険制度改革等の医療に関連する制度において、多くの対応が求められる年でもあります。

そのような中で私が特に注目した「医療DX」について、来年度以降どのようなことが起きると予測されるのか、そしてそれに対してどう準備していくべきかをお伝えいたします。

DX化への更なる要請と共に生まれる、医療機関格差

医療現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)に関して、皆さんも身近に感じている部分があるのではないでしょうか。最近では「オンライン資格確認の原則義務化」や「医療DX令和ビジョン2030」が話題になりました。骨太方針2023年での言及はもちろん、2024年度の改定方針の中でも地域包括ケアシステムの推進というテーマの中でも言及されており、政府からの要請だけでなく人手不足解消・業務効率化、及び、病院・クリニックの集患方法という点でも、無視できない取り組みと断言できます。

上記の流れから、最低限のDX化への対応は行わざるを得ない状況になるでしょう。しかし、一言で医療DXといえど、手術用ロボットからコミュニケーションツールまで様々な施策があります。その結果、医療機関間で取り組みへの差が生まれ、その差は医院経営にも直結すると予想されます。

では、医療DXへの取り組み格差がどう経営に影響してくるのでしょうか。

【医療DXへの取り組み】医療従事者の定着率が左右する経営格差

医療・福祉という分野では、DXを実施している法人の割合は10%程と言われています。今後は診療報酬改定DXにより実施割合が増えて各種効率化がされると考えられますが、レセプト操作や各種機器等を最終的に扱うのは医療従事者・患者様です。

そのため、DX化に取り組む際に優良なIT人材を抱えているか否かで、経営力に差が出てくると予想されます。しかし、医療従事者は定着率が非常に低いという現実があるため、人材の定着率向上が各医院の課題となってくるでしょう。

【医療DXへの取り組み】加算方式による売り上げ格差

診療報酬の新たな加算方式として「オンライン資格確認制度」等が導入されましたが、2023年10月より外来のデータ提出加算も始まります。このような流れを鑑みると、加算方式においてもDXに取り組んでいるか否かにより、売り上げ高にも影響が生まれてくると予想されます。

なぜなら本算定を行うためには、事前の届出提出と定期的なデータの収集作業が必要だからです。そのためにはデータの管理を行う仕組みを構築することが不可欠となりますが、その構築方法やデータ処理の方法も各医療機関で差が生まれてくることでしょう。

専門人材の教育と情報収集方法の必要性

これまでお話しさせていただいて通り、2024年度の診療報酬改定では「人」と「情報」といった観点から、今後の準備を行うことをお勧めいたします。
その中で必要なポイントは以下の2点です。

  1. 専門人材の育成
  2. データ収集を円滑に行う仕組み作り

上記を全て自院内で完結することは難しいかもしれません。しかし、今後も優良なサービスを提供してくためには、いつまでにどのようなことをやらなければならないのかといった計画を立て、外部の支援も活用しながら医院経営を進める必要があると感じております。

【参考資料】
厚生労働省「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)
厚生労働省「医療計画について
厚生労働省「第9期介護保険事業計画作成に向けた各種調査等に関する説明会