お客様の声
  1. 介護・医療・福祉のM&AならCBパートナーズ
  2. お客様の声
  3. <インタビュー>企業が成長するために欠かせない「ヒト」。介護事業の経営者が決断した譲受という選択肢

<インタビュー>企業が成長するために欠かせない「ヒト」。介護事業の経営者が決断した譲受という選択肢

株式会社在宅支援総合ケアーサービス

株式会社在宅支援総合ケアーサービス・代表取締役の依田 和孝 様は、2011年8月に同社を立ち上げました。まだ介護というサービスが始まって10年。地域包括ケアシステムを作り出す取り組みがスタートしたばかりの時期です。当時の依田様が介護業界に参入しようと考えたきっかけや、介護事業のM&Aが珍しかった時代に、訪問看護事業を譲受という選択肢をもって立ち上げた背景についてお話を伺いました。

譲受企業

本社所在地

千葉県

業態

居宅介護支援事業、訪問看護、訪問介護、訪問入浴、福祉用具貸与・販売、住宅改修、看護小規模多機能型居宅介護、保育事業、教育事業、運動事業、買取事業、訪問鍼灸、美容事業、フィットネス事業

譲受後の状況

地域包括ケアの強化・発展を目指し、既存事業とも連携しながら運営

銀行マンからのキャリアチェンジで介護の世界へ

―訪問看護事業を始めたきっかけを教えてください

新卒で入社した銀行で稲毛支店に配属となった際、偶然、病院の融資担当となり、医療・介護分野への理解を深める機会に恵まれました。

社会保障制度や診療報酬について理解を深めていくなかで、国が将来の医療や介護をどうしていきたいかが見えてきました。今後は、従来の医療ではなく、地域包括ケアの実現に向けて、地域における介護や在宅へのシフトチェンジが必要だということに気づいたんです。そんな時、勤めていた銀行で合併の話が持ち上がりました。30代後半で自身のキャリアを振り返った時、これまで学びを深めてきた医療・介護業界で、これからの高齢化社会の肝となる地域包括ケアの実現に向けて、資格がない自身にできることがないかと考え始めたことが、私が介護事業を始めたきっかけです。私の知り合いに看護師がいたということもあり、その結果、稲毛という地に訪問看護を立ち上げることにしました。

―現在、41の事業所を経営されていますが、訪問看護設立当初から事業拡大を視野にいれていましたか?

訪問看護設立当時、事業拡大は特に視野に入れていませんでした。当時は看護師の離職が続き、事業拡大について考える余裕がなかったというのが本音です。まだまだ設立間もない無名の訪問看護に、新たな利用者様の紹介が多数寄せられることは滅多にありません。その結果、医療・介護度の高い利用者様が集中し、現場に想定以上の負荷がかかってしまったことで、看護師の離職が続いてしまうという悪循環に陥っていました。一方で、企業の成長を踏まえると、訪問看護は利用者様を増やすほかありません。そのため、2012年2月に居宅介護支援事業所、2012年3月に訪問介護事業所、2012年8月に福祉用具貸与事業所と、1年以内に3つの事業所を設立し、当社内でケアマネを雇うことで、利用者様を安定的に供給できる仕組みを整えました。

きちんとした経営戦略のもと、一つずつ事業所を立ち上げて事業を拡大したというよりは、職員の生活を守り、企業を存続させていくため、事業所を増やさざるを得ず、必要に迫られて増やしていきました。

当時では珍しかった譲受という選択肢。決断できた理由とは

―新規開業ではなく、譲受という選択肢をもって事業を拡大した理由を教えてください

当時の訪問看護事業は、場所ではなくサービスが提供できる看護師がいれば売上があがるというモデルだったので、事業をスタートする段階から看護師がいる状態にメリットを感じて、譲受による事業拡大を決断しました。介護保険が始まって10年と少し。当社でも多くの事業所を新規で開業していたなかで、他法人の介護事業所も同様に増えていきました。

その中で、立ち上げたまではいいものの、管理が行き届かないなど、さまざまな理由から、運営がうまくいっていない事業所も複数あることがわかりました。そんな時に、CBグループから訪問看護の譲受案件のご紹介を受けました。当時は、非常に採用難の時代で、看護師を採用するにも一苦労。看護師専門の紹介会社も頻繁に利用していました。そのため、事業所が欲しいというよりは、その訪問看護事業所にいる看護師を採用する、という気持ちで譲受に踏み切りました。

―譲受に際して、苦労した点はありますか

譲受する事業所で働く看護師のスキルや質の見極めには、苦労しました。例え譲受したとしても、既存職員が長く働いてくれなければ、譲受によって事業を拡大した意味がないので、既存職員のスキル・質の見極め、ケアについては特に気を遣いました。実際に、譲受当時から6年の年月が経過した今でも継続して勤務している職員がいます。今では、当社の幹部職員です。

株式会社在宅支援総合ケアーサービス依田様

今後も譲受という選択肢ももって地域密着で運営を続けていく

―今後の目標を教えてください

10年前、稲毛という地から介護事業をスタートし、今では医師、看護師、リハビリスタッフ、ヘルパー、ケアマネと、当社内で多職種連携・地域連携がうまく回っています。そこに、法人内で薬局の運営も始めて、薬剤師も加わったため、より地域連携を強化していきたいです。現在までに職員は500人、サービス利用者は2,000人にのぼり、事業規模は成長を遂げてきました。一方で、地域包括ケアのなかで、完全に地域を支え切れているわけではありません。今後も新規事業の立ち上げも視野に入れ、当社で運営しているサービスとコラボレーションも図っていきたいです。

そのためにも、今後も、事業拡大の意向は変わりません。事業所を増やす手段は、新規開業、もしくは譲受という選択肢、どちらも視野に入れています。ただ、遠方だと事業所ごとの連携が難しくなるので、できるだけ近隣で事業所を増やしていきたいと考えています。当社に勤務している職員が地域包括ケアを実践し、今よりももっと稲毛を支えている実感を持てるような、そんな企業としての成長を目指すとともに、地域包括ケアの強化・発展に努めます。

<関連記事>

自身の会社で立ち上げた放課後等デイサービスを他法人に譲渡する経験
<インタビュー>法人経営の軸となる志や理念に合わない介護事業を譲渡という選択肢で手放すことも時には大切。