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障害福祉業界における事業承継のトレンド

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介護・医療・福祉業界に特化したサービスを展開しているCBパートナーズですが、その中でもご相談が増えているのが、障害福祉事業のご承継・事業切り離しのお悩みです。これまでのコラムで、入居系施設や訪問看護のM&A事例についてはご紹介させて頂いておりますが、今回は、障害福祉業界の現状も踏まえ、M&Aの実例も交えながら、解説をいたします。

障害福祉事業、障害福祉サービスとは

障害福祉事業・障害福祉サービスとは、障害のある方や、特定の難病のある方が地域で生活を続けていけるように支援するサービスのことを指します。また障害福祉のサービスには、就労移行支援などの働かれる方のサポ-トをする訓練等給付と、住宅介護などの日常サポートの介護給付の2種類があります。加えて、例外はあるものの、主に65歳未満の方を対象にしている点も介護事業・サービスと大きな違いと言えるでしょう。

参照:厚生労働省「障害福祉サービスについて」より

障害福祉事業の倒産、休廃業の調査

冒頭で「障害福祉サービスのご承継の相談が増えている」というお話しをいたしました。下記、東京商工リサーチの記事によると、2020年の「障害福祉事業」の倒産と休廃業・解散は合計127件と2019年に続き、100件を上回っている状況ですが、倒産件数のみに目を向けると2019年より3割減少していることが分かります。

参照:株式会社東京商工リサーチ「2020年「障害者福祉事業」倒産と休廃業・解散調査」より

倒産件数の減少については、コロナ禍で金融機関の融資が緩和されたこと、また独立行政法人福祉医療機構(WAM)の存在が、事業維持の要因になったと推察されます。一方、休廃業に関しては、2020年に過去最多となっており、新型コロナウイルスへの支援策があっても事業継続が難しい事業所が多数あったことがうかがえます。
障害福祉事業が、上記の数字になる背景としては以下のことが挙げられます。

  • 安易な業界参入による、事業計画の見立ての甘さ
  • 就労移行支援事業所などは『固定費+人件費』以上の売上を上げていくのが困難

現状では、本質的な事業の目的と営利性を求める点の背反が、顕著な業界とも言えるのではないでしょうか。

実際にご支援させていただいた事例

最後に、実際に弊社でご支援させて頂いた事例を紹介させていただきます。譲渡企業様は、首都圏で複数拠点、就労移行支援事業所を展開されておりましたが、業界への不安、また人材不足から、承継を検討されておりました。承継を検討する中で、譲渡企業様が「いま以上に売上を伸ばすためには、新たな事業所を立ち上げるしかないが、金銭的にも体力的にも持たない」とおっしゃっていたことが印象に残っております。ご相談をお受けしてから、譲受希望の企業を探索し、約半年の交渉の末、ご成約となりました。譲受企業様は、同じように就労移行支援事業所を展開されている企業様で、譲渡企業様が保有されていた事業所の場所や売上を鑑みて、承継を決断されました。

本コラム内では割愛しましたが、障害者グループホームをはじめ、放課後等デイサービスのご承継の相談も増えております。障害福祉事業においては、前述の通り他事業も展開されている企業様も多く、独立行政法人福祉医療機構(WAM)の返済スタートや報酬改定、恒常的な人材不足などから、今後の倒産や休廃業の流れは加速するのではないかと言われております。しっかりとした道筋を事業計画などに落とし込み、報酬改定も見据えた運営をしていくことが重視されるでしょう。

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